2018年12月26日

ソウル市の7割の私立幼稚園で会計不正―サムスンの改革より難しい幼稚園改革は成功できるだろうか―

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

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■要旨
 
  • 韓国では2018年10月10日から29日まで国政監査が行われた。その中で最も大きな話題となったのが、私立幼稚園を巡る会計不正事件である。
     
  • ソウル市だけをみると、公立幼稚園は、監査対象116カ所の中31カ所(26.7%)が摘発されたことに比べて、私立幼稚園は監査対象64カ所の中45カ所(70.3%)が摘発された。
     
  • 私立幼稚園を巡る会計不正事件が社会問題に発展すると、与党・政府は、10月25日に幼稚園の会計不正に関する緊急会議を開き、不正防止のための総合対策を発表した。また、私立幼稚園の不正防止のために与党は「朴用鎮3法」と言われている法律改正も推進している。
     
  • しかしながら、「幼稚園3法」(私立学校法、幼児教育法、学校給食法の改正案)は、処罰のレベルや法案施行の時期などをめぐる野党「自由韓国党」の反対により、年内に通常国会で成立する見通しは厳しい状況にある。
     
  • 韓国の2018年の7-9月期の合計特殊出生率は1人を切っており、2018年を通じても合計特殊出生率は1人に満たない見通しである。
     
  • 幼稚園の改革がこれ以上遅れると、少子化の問題はさらに厳しくなる恐れがある。与野党を離れて、安心して子育てができる環境を整備することに力を合わせる必要がある。

■目次

1――はじめに
2――幼稚園の会計不正
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生活研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
    独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職

    ・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
    ・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
    ・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
    ・2021年~ 専修大学非常勤講師
    ・2021年~ 日本大学非常勤講師
    ・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
    ・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
    ・2024年~ 関東学院大学非常勤講師

    ・2019年  労働政策研究会議準備委員会準備委員
           東アジア経済経営学会理事
    ・2021年  第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員

    【加入団体等】
    ・日本経済学会
    ・日本労務学会
    ・社会政策学会
    ・日本労使関係研究協会
    ・東アジア経済経営学会
    ・現代韓国朝鮮学会
    ・韓国人事管理学会
    ・博士(慶應義塾大学、商学)

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