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- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(12月号)~輸出は米中貿易戦争の余波で上下に振れる展開に
2018年12月11日
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18年10月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比10.1%増(前月:同3.6%増)と上昇し、3ヵ月ぶりの二桁増となった(図表1)。輸出は年前半に堅調に推移した後、年後半は米中間の追加関税発動や駆け込み輸出などの余波に加え、9月のアジア地域の自然災害の悪影響を受けて上下に振れているが、総じて緩やかな鈍化傾向がみられる。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、10月は前月に下振れた東南アジア向け(同15.9%増)と東アジア向け(同8.6%増)を中心に拡大した(図表2)。相対的に堅調な北米向け(同12.3%増)と低調なEU向け(同8.8%増)についても、それぞれ上昇した。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、10月は前月に下振れた東南アジア向け(同15.9%増)と東アジア向け(同8.6%増)を中心に拡大した(図表2)。相対的に堅調な北米向け(同12.3%増)と低調なEU向け(同8.8%増)についても、それぞれ上昇した。
タイの18年10月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比8.7%増(前月:同5.2%減)と上昇して、二ヵ月ぶりのプラスに転じた。輸出の基調は、米中貿易摩擦や世界経済の減速など先行きの不透明感が強まるなかで鈍化傾向にあるが、主要工業製品を中心に総じて堅調を維持している。また輸入額も前年同月比11.2%増(前月:同9.9%増)と上昇した結果、貿易収支は2.8億ドルの小幅の赤字となった(図表3)。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同6.8%増(前月:同6.7%減)と反転上昇した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、石油化学製品(同18.5%増)と機械・装置(同9.7%増)は堅調に拡大したが、主力の電子機器(同1.2%増)と自動車・部品(同5.5%減)、家電製品(同0.6%減)が低調だった。また鉱業・燃料は同32.1%増(前月:同8.9%増)と、石油製品を中心に再び上昇した。農産品・加工品は同12.2%増(前月:同0.6%減)と大きく上昇した。魚の缶詰(同17.8%増)などの加工食品が幅広く改善したほか、コメ(同28.2%増)も好調だった。一方で国際市況が下落している天然ゴム(同19.1%減)とゴム製品(同3.0%減)は引き続き減少した。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同6.8%増(前月:同6.7%減)と反転上昇した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、石油化学製品(同18.5%増)と機械・装置(同9.7%増)は堅調に拡大したが、主力の電子機器(同1.2%増)と自動車・部品(同5.5%減)、家電製品(同0.6%減)が低調だった。また鉱業・燃料は同32.1%増(前月:同8.9%増)と、石油製品を中心に再び上昇した。農産品・加工品は同12.2%増(前月:同0.6%減)と大きく上昇した。魚の缶詰(同17.8%増)などの加工食品が幅広く改善したほか、コメ(同28.2%増)も好調だった。一方で国際市況が下落している天然ゴム(同19.1%減)とゴム製品(同3.0%減)は引き続き減少した。
ベトナムの18年10月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比10.8%増と、前月の同9.5%増から上昇した。輸出の伸び率は、年前半に冬季五輪およびサッカーワールドカップの開催、新型スマートフォン発売のタイミングが去年より早まった影響で電気電子製品を中心に上下に振れているが、増勢は昨年から鈍化傾向にある。また輸入額が前年同月比19.4%増(前月:同6.4%増)と上昇した結果、貿易収支は前月の7.7億ドルの黒字となり、前月から8.4億ドル減少した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同9.7%減となり、新型スマートフォンの発売が昨年より早まった反動で鈍化した前月の同4.9%増から更に低下して5ヵ月ぶりのマイナスとなった。一方、コンピュータ・電子部品は同11.9%増(前月:同9.6%増)と、堅調に拡大した。アパレル関連では、織物・衣類が同23.0%増(前月:同14.1%増)、履物が同16.8%増(前月:同12.1%増)と、引き続き好調だった。農産品は、カシューナッツ(同14.4%減)とコメ(同23.7%減)が低迷する一方、ゴム(同32.9%増)とコーヒー(同35.7%増)が好調であり、品目毎にばらつきがみられた。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同7.8%増(前月:同10.0%増)と鈍化する一方、地場企業が同19.1%増(前月:同8.0%増)と大きく上昇した。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同9.7%減となり、新型スマートフォンの発売が昨年より早まった反動で鈍化した前月の同4.9%増から更に低下して5ヵ月ぶりのマイナスとなった。一方、コンピュータ・電子部品は同11.9%増(前月:同9.6%増)と、堅調に拡大した。アパレル関連では、織物・衣類が同23.0%増(前月:同14.1%増)、履物が同16.8%増(前月:同12.1%増)と、引き続き好調だった。農産品は、カシューナッツ(同14.4%減)とコメ(同23.7%減)が低迷する一方、ゴム(同32.9%増)とコーヒー(同35.7%増)が好調であり、品目毎にばらつきがみられた。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同7.8%増(前月:同10.0%増)と鈍化する一方、地場企業が同19.1%増(前月:同8.0%増)と大きく上昇した。
マレーシアの18年10月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比19.7%増(前月:同8.3%増)と大きく上昇して、3ヵ月ぶりの二桁増となった。輸出の伸び率は直近2ヵ月こそ一桁台の成長に止まったが、主力の電気・電子製品と鉱物性燃料を中心に総じて堅調に推移している。また輸入額は前年同月比13.3%増と、前月の同1.1%減から大きく上昇した結果、貿易収支は39.3億ドルの黒字と、前月から2.5億ドル改善した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同23.6%増(前月:同8.3%増)となり、主力の電気・電子製品(同25.4%増)を中心に再び拡大した(図表8)。また鉱物性燃料は同35.5%増と、前月(同13.3%増)から更に上昇した。原油(同35.1%増)と石油製品(同39.6%増)の好調に加え、落ち込んでいた天然ガス(同41.3%増)も高水準を記録した。このほか、化学製品(同26.6%増)が好調に推移する一方、動植物性油脂(同15.9%減)は引き続き大幅マイナスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同23.6%増(前月:同8.3%増)となり、主力の電気・電子製品(同25.4%増)を中心に再び拡大した(図表8)。また鉱物性燃料は同35.5%増と、前月(同13.3%増)から更に上昇した。原油(同35.1%増)と石油製品(同39.6%増)の好調に加え、落ち込んでいた天然ガス(同41.3%増)も高水準を記録した。このほか、化学製品(同26.6%増)が好調に推移する一方、動植物性油脂(同15.9%減)は引き続き大幅マイナスとなった。
インドネシアの18年10月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比3.7%増(前月:同2.4%増)と上昇した。輸出は主力のパーム油とゴム製品が落ち込むなかでも鉱産物や化学製品、自動車などを支えに堅調に拡大してきたが、直近3ヵ月は牽引役のアジア向けが鈍化して伸び悩んできている。また輸入額も前年同月比23.7%増(前月:同14.2%増)と上昇した結果、貿易収支は18.2億ドルの赤字と、前月から21.3億ドル悪化した(図表9)。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスは同4.0%増(前月:同3.5%増)と僅かに上昇すると共に、石油ガスは同0.1%増となり、落ち込んだ前月(同11.6%減)からプラスに転じた。非石油ガスの内訳をみると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同5.8%増(前月:同2.5%増)と上昇した。製造品のうち、木材パルプ(同18.8%減)が鈍化した一方、衣類(同11.1%増)や靴製品(同8.7%増)、自動車・同部品(同18.7%増)などが拡大した。また鉱業品が同1.5%減(前月:同10.5%増)、農産品が同9.4%減(前月:同1.4%増)となり、それぞれマイナスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスは同4.0%増(前月:同3.5%増)と僅かに上昇すると共に、石油ガスは同0.1%増となり、落ち込んだ前月(同11.6%減)からプラスに転じた。非石油ガスの内訳をみると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同5.8%増(前月:同2.5%増)と上昇した。製造品のうち、木材パルプ(同18.8%減)が鈍化した一方、衣類(同11.1%増)や靴製品(同8.7%増)、自動車・同部品(同18.7%増)などが拡大した。また鉱業品が同1.5%減(前月:同10.5%増)、農産品が同9.4%減(前月:同1.4%増)となり、それぞれマイナスとなった。
(2018年12月11日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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