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- 貸出・マネタリー統計(18年11月)~貸出は伸び悩み、通貨供給量の伸びが急低下
2018年12月11日
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1.貸出動向: 貸出の伸び率は2ヵ月連続で低下
次に、為替変動等の影響を調整した実勢である「特殊要因調整後」の銀行貸出伸び率(図表1)1を確認すると、直近判明分である10月の伸び率は前年比2.31%と9月の2.40%から低下した。ドル円レートの前年比はここ数ヵ月の間ほぼ横ばいで推移しているため(図表4)、見た目(特殊要因調整前)の伸び率に沿った動きとなった。
11月の「特殊要因調整後」伸び率は未判明だが、11月のドル円レートの前年比が10月とほぼ変わらなかったことを鑑みると、特殊要因調整後の伸び率も見た目の伸び率と同様に低下し、前年比2.2%台になったと推測される。
1 特殊要因調整後の残高は、1カ月遅れで公表されるため、現在判明しているのは10月分まで。
11月の「特殊要因調整後」伸び率は未判明だが、11月のドル円レートの前年比が10月とほぼ変わらなかったことを鑑みると、特殊要因調整後の伸び率も見た目の伸び率と同様に低下し、前年比2.2%台になったと推測される。
1 特殊要因調整後の残高は、1カ月遅れで公表されるため、現在判明しているのは10月分まで。
(業種別貸出動向)
9月末時点の業種別貸出動向を確認すると、電気・ガスをはじめ、教育・学習支援、金融・保険といったサービス業を中心に高い伸びが示されている。残高が最大で、全体への影響が大きい不動産も相対的に高い伸び率を維持している。
ただし、不動産領域では、アパートローン(個人による貸家業向け)において、昨年来、市場の過熱感やスルガ銀行問題の影響などから銀行の貸出スタンスが慎重化し、新規貸出の大幅な減少が続いているほか、不動産向け全体としても新規貸出の前年割れが状況が続いている。このため、不動産向け貸出の伸び率(2018年9月末5.5%)もピーク(2016年9月末7.3%)からは鈍化しており、牽引力が弱まっている。
9月末時点の業種別貸出動向を確認すると、電気・ガスをはじめ、教育・学習支援、金融・保険といったサービス業を中心に高い伸びが示されている。残高が最大で、全体への影響が大きい不動産も相対的に高い伸び率を維持している。
ただし、不動産領域では、アパートローン(個人による貸家業向け)において、昨年来、市場の過熱感やスルガ銀行問題の影響などから銀行の貸出スタンスが慎重化し、新規貸出の大幅な減少が続いているほか、不動産向け全体としても新規貸出の前年割れが状況が続いている。このため、不動産向け貸出の伸び率(2018年9月末5.5%)もピーク(2016年9月末7.3%)からは鈍化しており、牽引力が弱まっている。
2.マネタリーベース: 6ヵ月ぶりに伸び率が拡大
3.マネーストック: 通貨供給量の伸びが急低下
12月11日に発表された11月のマネーストック統計によると、金融部門から市中に供給された通貨総量の代表的指標であるM2(現金、国内銀行などの預金)平均残高の伸び率は前年比2.33%(前月は2.66%)、M3(M2にゆうちょ銀など全預金取扱金融機関の預貯金を含む)の伸び率は同2.09%(前月は2.32%)とともに前月から大きく低下した(図表12)。M2・M3の伸び率低下はともに7ヵ月連続となり(小数点第2位以下まで見た場合)、伸び率の水準はともに安倍政権発足前の2012年12月以来の低水準となっている。
貸出の伸びが限定的に留まっていることに加え、既往の原油高や輸出減速等の影響で経常黒字が縮小していることが影響しているとみられる。
貸出の伸びが限定的に留まっていることに加え、既往の原油高や輸出減速等の影響で経常黒字が縮小していることが影響しているとみられる。
M3の内訳を見ると、最大の項目であり、全体の約半分を占める預金通貨(普通預金など)の伸び率が前年比5.8%(前月は6.2%)と大きく低下したほか、現金通貨の伸び率も同3.5%(前月は3.7%)と低下している。さらに、CD(前月改定値▲2.5%→▲3.9%)の伸びがマイナス幅を拡大したことも全体の伸び率鈍化に影響した(図表13)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年12月11日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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