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- 【11月米FOMC】予想通り、政策金利を据え置き。景気堅調との判断から12月追加利上げへ
2018年11月09日
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1.金融政策の概要:政策金利を据え置き。声明文で景気現状認識に関する表現を小幅修正
米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が11月7-8日(現地時間)に開催された。FRBは、市場の予想通り、政策金利の据え置きを決定した。バランスシート政策に変更はない。
今回発表された声明文では、景気の現状認識に関する表現が、前回会合から失業率が低下していることを反映して、失業率に関する表現が上方修正された一方、7-9月期のGDPで民間設備投資の伸びが大幅に鈍化したことを反映して、設備投資の表現が下方修正された。
一方、景気見通しやガイダンス部分の表現変更はなく、声明文の表現変更は小幅に留まった。
今回の金融政策変更は、全会一致で決定された。
今回発表された声明文では、景気の現状認識に関する表現が、前回会合から失業率が低下していることを反映して、失業率に関する表現が上方修正された一方、7-9月期のGDPで民間設備投資の伸びが大幅に鈍化したことを反映して、設備投資の表現が下方修正された。
一方、景気見通しやガイダンス部分の表現変更はなく、声明文の表現変更は小幅に留まった。
今回の金融政策変更は、全会一致で決定された。
2.金融政策の評価:経済が非常に堅調との認識から、12月の追加利上げがほぼ確実
政策金利の据え置きは当研究所の予想通り。また、声明文における景気の現状認識部分で、足元の経済指標を反映して失業率と民間設備投資に関する表現が小幅に修正されたものの、「経済活動が力強いペースで拡大している」との表現に変更はないため、FRBは米経済が非常に堅調との判断に変更はないとみられる。
このため、12月の次回FOMC会合では、金融市場が余程不安定化することなどが無い限り、金融政策の正常化を継続するとの従前の方針に沿って、FRBが追加利上げを実施することがほぼ確実とみられる。次回会合での注目点は来年以降の政策金利見通しが修正されるかである。
一方、先日実施された中間選挙で野党民主党が下院で勝利し、来年からねじれ議会となることが決まった。ねじれ議会ではトランプ大統領が目指す経済政策の実施がこれまで以上に困難になることから、FRBの利上げ判断に対して、牽制発言やFRB批判を通じて金融政策に一層プレッシャーをかけることが想定される。
このため、FRBが金融政策の正常化ペースを緩める意思決定をする際には、中央銀行の独立性を市場に示すために、トランプ大統領からの圧力がその理由でないことを明確に示すことがパウエル議長に求められるだろう。
このため、12月の次回FOMC会合では、金融市場が余程不安定化することなどが無い限り、金融政策の正常化を継続するとの従前の方針に沿って、FRBが追加利上げを実施することがほぼ確実とみられる。次回会合での注目点は来年以降の政策金利見通しが修正されるかである。
一方、先日実施された中間選挙で野党民主党が下院で勝利し、来年からねじれ議会となることが決まった。ねじれ議会ではトランプ大統領が目指す経済政策の実施がこれまで以上に困難になることから、FRBの利上げ判断に対して、牽制発言やFRB批判を通じて金融政策に一層プレッシャーをかけることが想定される。
このため、FRBが金融政策の正常化ペースを緩める意思決定をする際には、中央銀行の独立性を市場に示すために、トランプ大統領からの圧力がその理由でないことを明確に示すことがパウエル議長に求められるだろう。
3.声明の概要
(フォワードガイダンス、今後の金融政策見通し)
(景気判断)
(景気見通し)
- 既に実現した労働市場環境や物価、およびこれらの今後の見通しを考慮して、委員会はFF金利の目標レンジを2.0-2.25%に据え置いた(政策金利の据え置きを反映)
- FF金利の目標レンジに対する将来の調整時期や水準の決定に際して、委員会は経済の現状と見通しを雇用の最大化目標と対称的な2%物価目標に照らして判断する(変更なし)
- これらの判断に際しては、雇用情勢、インフレ圧力、期待インフレ、金融、海外情勢など幅広い情報を勘案する(変更なし)
(景気判断)
- 労働市場は引き続き力強さを増し、経済活動は力強いペースで拡大した(変更なし)
- 最近数ヵ月を均せば雇用増加は強く、失業率は低下した(「低位に留まった」”stayed low”から「低下した」”declined”に上方修正)
- 家計消費は引き続き力強く成長した一方、民間設備投資の伸びは年前半にみられた急速な伸びからは緩やかになった(民間設備投資に関して、前回の「力強く成長した」”have grown strongly”から「年前半にみられた急速な伸びからは緩やかになった」”has moderated from its rapid pace earlier in the year”に下方修正)
- 前年比でみた総合および食料品とエネルギーを除いたインフレ指標は、2%近辺に留まっている(変更なし)
- 長期物価見通しを示す指標は、全般的には変化に乏しい(変更なし)
(景気見通し)
- 委員会は、FF金利の目標レンジの更なる漸進的な引き上げが、経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場環境、中期的に委員会の2%で対称的な目標に近いインフレ率、と整合すると予測している(変更なし)
- 前年比でみたインフレ率は、中期的に委員会の2%で対称的な目標近辺で推移すると予想する(変更なし)
- 経済見通しに対する短期的なリスクは概ねバランスしている(変更なし)
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年11月09日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
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