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- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(11月号)~輸出は2カ月連続の一桁増、減速傾向が明確に
2018年11月07日
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18年9月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て通関ベース)は前年同月比3.3%増(前月:同7.9%増)と低下し、2カ月連続の一桁増となった(図表1)。輸出はスマートフォン需要の減速などから昨年に比べて増勢が鈍化しつつも堅調を維持してきたが、足元では米中貿易摩擦問題などの影響で海外経済の減速懸念が強まるなか、ASEANの輸出減速が次第に明らかになってきた。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、9月は引き続きEU向け(同0.2%減)が低迷したほか、これまで好調だった東南アジア向け(同8.6%増)と東アジア向け(同0.4%増)が鈍化した(図表2)。一方、北米向け(同7.7%増)は上昇した。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、9月は引き続きEU向け(同0.2%減)が低迷したほか、これまで好調だった東南アジア向け(同8.6%増)と東アジア向け(同0.4%増)が鈍化した(図表2)。一方、北米向け(同7.7%増)は上昇した。
タイの18年9月の輸出額は前年同月比5.2%減(前月:同6.7%増)と低下してマイナスとなった。輸出の基調は主要工業製品を中心に堅調に拡大してきたが、米中貿易摩擦や世界経済の減速など先行きの不透明感が強まるなかで徐々に鈍化、9月は日本、フィリピン、香港の自然災害が重なり急減速した。一方、輸入額は前年同月比9.9%増(前月:同22.8%増)と大きく鈍化した結果、貿易収支は4.9億ドルの黒字となり、3ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表3)。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同6.7%減(前月:同5.8%増)と低下した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、石油化学製品(同10.4%増)や機械・装置(同1.8%増)こそ増加したものの、主力の電子機器(同2.5%減)と自動車・部品(同6.0%減)がマイナスとなり、家電製品(同8.3%減)が引き続き低迷した。また鉱業・燃料は同8.9%増(前月:同39.4%増)と低下したものの、石油製品を中心に堅調な伸びを維持した。農産品・加工品は同0.6%減(前月:同4.1%増)と低下した。コメ(同20.5%増)が堅調に拡大する一方、国際市況が下落している天然ゴム(同24.3%減)とゴム製品(同10.6%減)が低迷した。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同6.7%減(前月:同5.8%増)と低下した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、石油化学製品(同10.4%増)や機械・装置(同1.8%増)こそ増加したものの、主力の電子機器(同2.5%減)と自動車・部品(同6.0%減)がマイナスとなり、家電製品(同8.3%減)が引き続き低迷した。また鉱業・燃料は同8.9%増(前月:同39.4%増)と低下したものの、石油製品を中心に堅調な伸びを維持した。農産品・加工品は同0.6%減(前月:同4.1%増)と低下した。コメ(同20.5%増)が堅調に拡大する一方、国際市況が下落している天然ゴム(同24.3%減)とゴム製品(同10.6%減)が低迷した。
ベトナムの18年9月の輸出額は前年同月比9.5%増と、前月の同18.5%増から低下した。輸出の伸び率は、年前半に冬季五輪およびサッカーワールドカップの開催、新型スマートフォン発売のタイミングが去年より早まった影響で電気電子製品を中心に上下に振れているが、増勢は昨年から鈍化している。一方、輸入額は前年同月比6.4%増(前月:同16.4%増)と鈍化した結果、貿易収支は前月の16.1億ドルの黒字となり、前月から5.9億ドル減少した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同4.9%増となり、新型スマートフォンの発売が昨年より早まった影響で大幅な増加となった前月(同25.1%減)から低下した。またコンピュータ・電子部品も同9.6%増(前月:同19.1%増)と鈍化したものの、堅調な伸びを維持した。アパレル関連では、織物・衣類が同14.1%増(前月:同18.8%増)、履物が同12.1%増(前月:同10.6%増)と、それぞれ二桁増となった。農産品は、カシューナッツ(同22.4%減)とゴム(同16.5%減)が低迷、コメ(同23.6%減)が再びマイナスに転じるなど、総じて低調だった。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同10.0%増(前月:同20.0%増)、地場企業が同8.0%増(前月:同15.0%増)と、それぞれ低下した。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同4.9%増となり、新型スマートフォンの発売が昨年より早まった影響で大幅な増加となった前月(同25.1%減)から低下した。またコンピュータ・電子部品も同9.6%増(前月:同19.1%増)と鈍化したものの、堅調な伸びを維持した。アパレル関連では、織物・衣類が同14.1%増(前月:同18.8%増)、履物が同12.1%増(前月:同10.6%増)と、それぞれ二桁増となった。農産品は、カシューナッツ(同22.4%減)とゴム(同16.5%減)が低迷、コメ(同23.6%減)が再びマイナスに転じるなど、総じて低調だった。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同10.0%増(前月:同20.0%増)、地場企業が同8.0%増(前月:同15.0%増)と、それぞれ低下した。
マレーシアの18年9月の輸出額は前年同月比8.5%増と、前月(同4.4%増)の落ち込みから再び上昇した。輸出の伸び率は主力輸出品の電気・電子製品を中心に堅調に増加してきたが、直近2ヵ月は一桁台の成長に止まっている。一方、輸入額は前年同月比1.0%減と、前月の同16.4%増から大きく低下した結果、貿易収支は36.9億ドルの黒字と、前月から32.9億ドル改善した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同8.3%増(前月:同6.5%増)となり、主力の電気・電子製品(同8.3%増)を中心に再び拡大した(図表8)。また鉱物性燃料は同14.1%増と、前月(同6.7%増)に続いて上昇した。原油(同57.1%増)と石油製品(同22.5%増)が好調だったほか、落ち込んでいた天然ガス(同4.9%増)が4カ月振りのプラスに転じた。このほか、化学製品(同23.3%増)が好調となる一方、動植物性油脂(同13.2%減)が引き続き大幅マイナスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同8.3%増(前月:同6.5%増)となり、主力の電気・電子製品(同8.3%増)を中心に再び拡大した(図表8)。また鉱物性燃料は同14.1%増と、前月(同6.7%増)に続いて上昇した。原油(同57.1%増)と石油製品(同22.5%増)が好調だったほか、落ち込んでいた天然ガス(同4.9%増)が4カ月振りのプラスに転じた。このほか、化学製品(同23.3%増)が好調となる一方、動植物性油脂(同13.2%減)が引き続き大幅マイナスとなった。
インドネシアの18年9月の輸出額は前年同月比1.7%増(前月:同4.5%増)と低下した。輸出は主力のパーム油とゴム製品が落ち込むなかでも石油ガス需要の増加を背景に堅調な伸びを続けてきたが、9月は石油ガスが落ち込み2カ月連続で鈍化した。また輸入額も前年同月比14.2%増(前月:同24.5%増)と鈍化した結果、貿易収支は2.3億ドルの黒字と、前月から11.7億ドル改善した(図表9)。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスは同3.8%増(前月:同3.5%増)と小幅に上昇した一方、石油ガスは同17.0%減(前月:同16.3%増)と大幅に低下した。非石油ガスの内訳を見ると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同2.5%増(前月:同2.1%増)と上昇した。製造品のうち、電気機械(同0.1%増)や機械類(同8.5%減)は減少したが、鉄鋼製品(同63.5%増)は拡大した。また鉱業品が同10.5%増(前月:同18.0%増)と、鉱石、スラグ及び灰(同36.6%増)を中心に引き続き二桁増となったほか、農産品が同1.4%増(前月:同20.8%減)と3ヵ月ぶりのプラスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスは同3.8%増(前月:同3.5%増)と小幅に上昇した一方、石油ガスは同17.0%減(前月:同16.3%増)と大幅に低下した。非石油ガスの内訳を見ると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同2.5%増(前月:同2.1%増)と上昇した。製造品のうち、電気機械(同0.1%増)や機械類(同8.5%減)は減少したが、鉄鋼製品(同63.5%増)は拡大した。また鉱業品が同10.5%増(前月:同18.0%増)と、鉱石、スラグ及び灰(同36.6%増)を中心に引き続き二桁増となったほか、農産品が同1.4%増(前月:同20.8%減)と3ヵ月ぶりのプラスとなった。
(2018年11月07日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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