2018年11月07日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(11月号)~輸出は2カ月連続の一桁増、減速傾向が明確に

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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シンガポールの18年9月の輸出額(石油と再輸出除く)は前年同月比6.6%増(前月:同4.4%増)と上昇した。輸出の伸び率は主力の電子製品が低調で鈍化してきているが、医薬品の好調を支えに増加傾向は続いている。なお、総輸出額は前年同月比9.6%増(前月:同12.8%増)と上昇する一方、総輸入額は同14.2%増(前月:同12.5%増)と低下した。結果として、貿易収支は32.2億ドルの黒字となり、前月から16.4億ドル黒字が縮小した(図表11)。

輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同2.5%減(前月:同2.1%減)と8ヵ月連続のマイナスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同9.9%増)と通信機器(同13.3%増)こそ大きく増加したものの、PC(同23.9%減)とPC部品(同20.2%減)、ダイオード・トランジスタ(同23.7%減)が落ち込んだ。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同21.4%増(前月:同12.8%増)と上昇した。化学製品の内訳を見ると、医薬品が同64.8%増(前月:同32.6%増)と好調に推移する一方、石油化学製品が同3.1%減(前月:同2.8%増)と工場のメンテナンスの影響で低調だった。
(図表11)シンガポール貿易収支/(図表12)シンガポール輸出の伸び率(品目別)
フィリピンの18年9月の輸出額は前年同月比2.6%減と、前月(同3.4%増)から低下した。輸出の伸び率は年明けからマイナス圏で推移した後、6-8月にかけて主力の電子製品を中心にプラスに転じたが、9月は再びマイナスとなった。一方、輸入額は前年同月比26.1%増(前月:同11.0%増)と上昇した結果、貿易収支は39.3億ドルの赤字となり、前月から4.3億ドル赤字が拡大した(図表13)。

輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の約5割を占める電子製品は同4.2%増(前月:同8.9%増)と低下した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同2.6%増)と電子データ処理機(同7.6%増)がそれぞれ鈍化した。その他9品目は総じて減少した品目が多かった。バナナ(同189.2%増)や雑品(同10.0%増)、金属部品(同7.0%増)が増加する一方、ココナッツオイル(同36.4%減)や機械・輸送用機器(同30.4%減)、イグニッション・ワイヤーセット(同4.6%減)、その他製造品(同4.2%減)、金(同2.0%減)、電子機械・部品(同0.6%減)が減少した。
(図表13)フィリピンの貿易収支/(図表14)フィリピン 輸出の伸び率(品目別)
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

(2018年11月07日「経済・金融フラッシュ」)

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