コラム
2018年10月10日

2018年熱中症による搬送は過去最多~軽症者の増加は熱中症初期症状や対策の周知によるもの?

保険研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任   村松 容子

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図表1 熱中症による救急搬送者数(7~9月) 今年の夏は暑かった。

消防庁の発表によると、7~9月の熱中症による救急搬送者数は、8万5千人あまり1と、救急搬送者数が公表されるようになった2008年以降、最多となった(図表1)。昨年までの最多搬送者数は、2010年の5万4千人弱(7~9月)であり、今年はその1.5倍以上という多さだった。
図表2 軽症者の割合(7~9月) 2010年の熱中症患者の状況を振り返ると、搬送されたおよそ5万4千人のうち初診時に死亡していたのが167人(搬送者全員に対して0.31%)、重症者が1773人(同3.3%)だった。前後の年と比べると、圧倒的に、死亡者と重症者の搬送が多い。今年についてみると、死亡していたのが143人(同0.17%)、重症者が1849人(同2.2%)だったので、2010年と比べると、比較的軽症で搬送された人が多かったと言える2

今年に限らず、2010年以降、軽症で搬送される人が増加傾向にある(図表2)。
国では、消防庁、文部科学省、厚生労働省、気象庁、環境省からなる熱中症関係省庁間で連絡会議を実施してきていたが、2012年以降は参加省庁も増やし、各省庁連携をとりながら節電啓発の際にも熱中症対策を呼びかけることにしたり、「熱中症予防強化月間」を新設するなど、国民への熱中症の危険性を周知してきた。熱中症の初期症状や、熱中症が疑われる場合の対処法についても以前より周知されるようになった。軽症のうちに搬送される患者が増えたのは、こういった国の取組によってちょっとした体調の変化に本人、または周囲が気づくようになったからかもしれない。しかし、その一方で、救急車の安易な多用は避けるべきである。夏場は室温の管理や水分補給を徹底し、救急搬送に至らないで済む段階での対処が重要だろう。
 
1 2010年以降、6月からの搬送者数を公表している。6月からを含めると、2018年の合計搬送者数は9万人あまりだった。
2 救急搬送されなかった人も含めた熱中症による死亡は、厚生労働省「人口動態統計」で約半年後に公表される。例年、救急搬送された死亡者数の10倍程度になることが多く、2010年には1731人だった。
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保険研究部   准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療

(2018年10月10日「研究員の眼」)

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