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医療広告規制の見直し-医療機関のウェブサイトはどこまで広告可能なのか?
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
1――はじめに
1 正式な名称は、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(厚生労働省, 平成30年5月8日医政発第0508第1号医政局長通知)。
2 なお併せて、従来の「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」(厚生労働省, 平成19年3月30日医政発第0330014号医政局長通知)と、「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針」(厚生労働省, 平成24年9月28日医政発第0928第1号医政局長通知)は、廃止された。
2――医療広告規制見直しの背景
3――医療広告規制の考え方
3 医療広告規制の概要やこれまでの経緯については、拙稿である「医療広告規制の変化-医療機関の広告はどこまで可能なのか?」篠原拓也(ニッセイ基礎研究所, 基礎研レター, 2017年7月11日)を参照いただきたい。
4 ポジティブリスト方式は、1948年の医療法制定以来、医療広告規制の一貫した考え方となっている。過去に、規制緩和の一環として、広告不可のものをリストに示す「ネガティブリスト方式」への転換が検討されたこともあるが見送られた。
5 図表5で示している項目は、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関するもの。この他に、助産師の業務又は助産所に関するものが9項目ある。その内容は、図表5の項目に類似しており、ほぼ包含されている。
医療広告のうち、内容が虚偽にわたる広告は、患者等に著しく事実に相違する情報を与えることになる。これにより、患者が、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受ける恐れがある。このため、虚偽報告を行った者は、医療法上、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される。
(1) 患者その他の者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談(ⅳ)
医療機関が、治療の内容や効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、当該医療機関への誘引を目的として紹介することを意味する。こうした体験談は、個々の患者の状態等によりその感想は異なるものであり、読み手に誤認を与える恐れがあることを踏まえ、医療広告としては認められないこととされた。たとえ、体験談の記述内容が広告可能な範囲であったとしても、広告は認められない6。
(2) 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させる恐れがある治療等の前又は後の写真等(ⅴ)
いわゆる、治療等のビフォーアフター写真等を意味する。個々の患者の状態等により治療等の結果は異なるものであり、読み手を誤認させる恐れがある写真等については医療広告としては認められないこととされた。例えば、手術などの処置で、術前又は術後の写真やイラストのみを示しているものは、広告できない。
ただし、術前又は術後の写真に、通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合については、広告が可能とされた7。
なお、そもそも治療効果に関する事項は広告可能事項ではない。このため、次章に示す限定解除の対象でない場合については、術前術後の写真等については広告できないものとされている。
6 なお、個人が運営するウェブサイト、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の個人ページ、第三者が運営する口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料の費用負担などの便宜を図って掲載依頼をしているといった誘引性が認められない場合、広告には該当しないものとされている。
7 当該情報の掲載場所については、患者等にとって分かりやすいよう十分に配慮し、例えば、リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこととされた。
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
公式SNSアカウント
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