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【8月米雇用統計】雇用者数は前月比+20.1万人と予想(+19.0万人)を上回る一方、失業率は3.9%で横這い
経済研究部 主任研究員 窪谷 浩
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1.結果の概要:雇用者数は予想を上回る一方、失業率は前月から横這いと予想を上回る
失業率は3.9%(前月:3.9%、市場予想:3.8%)と、こちらは前月から横這いとなり、前月から▲0.1%ポイント低下を見込んでいた市場予想を上回った(後掲図表6参照)。
一方、労働参加率2は62.7%(前月:62.9%)と、前月から▲0.2%ポイント低下した(後掲図表5参照)。
1 季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
2 労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
2.結果の評価:家計調査の回復は足踏みとなったが、賃金上昇が大幅に加速し良好な内容
家計調査は失業率が横這いとなったほか、労働参加率が就業者数の大幅な減少を伴う労働力人口の減少から低下したため、8月は回復が足踏みとなった。

このようにみると、8月の雇用統計は家計調査こそ回復は足踏みとなったものの、堅調な雇用の伸びが持続していることに加え、漸く労働市場の回復が賃金上昇の加速に波及してきた兆候を示す結果であると言えよう。雇用統計の良好な結果を受け、今月下旬に予定されているFOMC会合では0.25%の追加利上げがほぼ確実となった。また、今回の賃金上昇の加速を受けて、会合後に発表されるFOMC参加者の物価、政策金利見通しが前回会合(6月)からどのように変更されるか注目される。
3.事業所調査の詳細:専門・ビジネスサービスなどの伸びが加速、製造業は13ヵ月ぶりに減少

民間サービス部門の中では、小売業が前月比▲0.6万人(前月:+0.4万人)と前月から減少に転じた一方、専門・ビジネスサービスが+5.3万人(前月:+3.7万人)、医療サービスが+3.3万人(前月:+2.2万人)、運輸・倉庫が+2.0万人(前月:+0.7万人)と、前月から伸びが加速した。
一方、財生産部門は前月比+2.6万人(前月:+3.6万人)と前月から伸びが鈍化した。建設業が+2.3万人(前月:+1.8万人)と前月から伸びが加速したものの、製造業が▲0.3万人(前月:+1.8万人)とこちらは17年7月以来、13ヵ月ぶりに減少に転じた。
政府部門は、前月比▲0.3万人(前月:▲0.6万人)と2ヵ月連続の減少となった。内訳をみると、連邦政府が横這い(前月:+0.1万人)と前月から伸びが鈍化したほか、州・地方政府が▲0.3万人(前月:▲0.7万人)と前月に続いて減少した。
なお、BLSの公表に先立って9月6日に発表されたADP社の推計は、非農業部門(政府部門除く)の雇用増加数が前月比+16.3万人(前月改定値:+21.7万人、市場予想:+20.0万人)と、+21.9万人から下方修正された前月改定値、市場予想ともに下回った。この結果、ADP統計の雇用増加数は過去3ヵ月平均では18.6万人増と年初来平均の20.1万人増から低下しており、雇用統計と整合的な動きとなった。
8月の賃金・労働時間(全雇用者ベース)は、民間平均の時間当たり賃金が27.16ドル(前月:27.06ドル)となり、前月から+10セント増加した。一方、週当たり労働時間は34.5時間(前月:34.5時間)と、こちらは前月から横這いとなった。その結果、週当たり賃金は937.02ドル(前月:933.57ドル)と前月から増加した(図表4)。
4.家計調査の詳細:就業者の大幅な減少に伴い労働参加率は低下
この結果、労働参加率は前月から低下し18年5月以来の水準となった(図表5)。なお、プライムエイジと呼ばれる働き盛り(25~54歳)のみの労働参加率も8月が82.0%(前月:82.1%)と、こちらも小幅ながら3ヵ月ぶりに低下した。男女別では、男性が88.8%(前月:88.8%)と前月並の水準を維持した一方、女性が75.3%(前月:75.5%)と前月から低下した。
一方、失業率は3.9%と00年以来18年ぶりの低水準となっているものの、前月から横這いと、回復が足踏みとなった(図表6)。
最後に、周辺労働力人口(144.3万人)3や、経済的理由によるパートタイマー(437.9万人)も考慮した広義の失業率(U-6)4をみると、8月は7.4%(前月:7.5%)と前月から▲0.1%ポイント低下した(図表8)。
また、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は3.5%ポイント(前月:3.6%ポイント)と、前月から▲0.1%ポイント縮小した。
3 周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
4 U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
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(2018年09月10日「経済・金融フラッシュ」)
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