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国保保険料の現状-都道府県単位で保険料を統一する場合、何に注意すべきか?
                                                保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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1――はじめに
国保は、この半世紀の間に、被保険者の構成が大きく変化した。財政面では、近年、窮迫した状態が続いている。国保は、地域包括ケアシステムを推進する上で基礎となる制度であり、財政の立て直しを図りつつ、地域の医療サービス向上に寄与することが望まれている。本稿では国保の現状を概観し、その上で、都道府県単位での統一化を含めた保険料設定のあり方について検討することとしたい1。
1 本稿は、「日本の医療 - 制度と政策」島崎謙治(東京大学出版会, 2011年)等を参考にしている。
2――国民健康保険の現状
代わって、高齢化の進展に伴って、無職の年金受給者が増加して、4割近くを占めるようになっている。また、被用者の割合も高まり、3割を占めるに至っている。国保に加入する被用者は、被用者保険の対象ではない被用者を指す。例えば、常用の従業員が5人未満である個人事業主の下で働く従業員や、短時間労働者などが該当する3。
2 農林水産業の就業者割合は1965年には24.7%であったが、2015年には4.0%に低下した。(「国勢調査」(総務省)より)
4 2014年度は支援金の1/3が総報酬割であった。この割合が徐々に引き上げられて、2017年度に完全に総報酬割となった。
5 これに先立ち、2015、2016年度は、公費補助が年1,700億円拡充された。
6 保険料・医療費とも、第3四分位数の第1四分位数に対する倍率は1.2倍で、四分位数でみると、格差は同等ともいえる。
一方、所得や保険料と医療費の間には負の相関がみられた。所得や保険料が高い保険者は、現役世代が多く、医療費が低くなる傾向がうかがえる。また、被保険者数と収納率の間にも負の相関がみられた。これは、被保険者数が多いと保険者が収納を徹底できないということだろうか?
なお、相関係数の絶対値はいずれも1より0に近いため、項目間の関係はあまり明確とは言えない点に注意が必要であろう。
7 相関係数は、項目間の関係を-1から1の間の値で表す。1に近いときは正の相関があり、片方が増えると、もう片方も増える。逆に、-1に近い場合は負の相関があり、片方が増えると、もう片方は減る。0に近い場合は、両者にあまり関係がない。
(2018年09月05日「基礎研レター」)
                                        保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
                                研究・専門分野
                                保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
                            
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員 
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