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糖質制限と筋トレで、本当に健康的に痩せられるのか?―シンクタンク社長の体験レポート―

代表取締役社長 手島 恒明
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4―筋力トレーニングについて
Rでは、原則として、週2回、トレーナーとのマンツーマンによるトレーニングが50分間行われる。このうち私の場合は、1回は上半身のトレーニングの日、もう1回は下半身のトレーニングの日であった。上半身の代表的なトレーニングは、胸の筋肉を鍛えるベンチプレスや腕立て伏せ、背中の筋肉を鍛えるラットプルダウンなどであり、下半身の代表的なトレーニングは、脚の筋肉を鍛えるスクワット、片脚ずつ行うスプリットスクワット、バーベルを持って行うバックスクワットや腹筋を鍛えるクランチ(起き上がり腹筋)、脚上げ腹筋などである。
Rでは、自分の限界を超える負荷をかけてトレーニングする。たとえば、ベンチプレスでは、楽に持ち上げられているとトレーナーが判断すると、すぐに重さを限界まで上げる。そして、トレーナーからの補助を受けながらなんとか持ち上げ、もう持ち上げられなくなると、5キログラム落として持ち上げ、またそれもできなくなるとさらに5キログラム落として持ち上げる。筋肉は、「刺激」と「修復」を繰り返すことで、以前より強く太い筋肉になる。この過程を「超回復」と呼ぶ。したがって最大の負荷をかけてトレーニングして筋肉を「刺激」させるのだと説明を受けた。
筋トレの中で最も大切と言われたスクワットについて述べたい。スクワットで鍛えられる大腿四頭筋は人間の体で最も筋肉があるところで、加齢により最も早く衰えるといわれている。スクワットはこの大腿四頭筋だけでなく、太もも裏のハムストリング,お尻の大殿筋などの鍛錬になるので、Rで最も重要視されている。初日は、食事のとり方や食事の管理アプリの説明があり、トレーニングは最後の15分間でスクワットをやったがこれが大変だった。まずベンチプレスを行うときに使用するアジャスタブルベンチ(低めの腰掛をイメージしてもらえばいい)に最初座って、立ってと10回行い、次におしりがベンチ台に触れると同時に立ち上がることを10回、そして最後にベンチ台をとってスクワットをやった。もちろん膝が前にでないようにお尻を落として太ももが水平になるくらいに深く曲げて20回を3セットほどやったが、帰りは階段が降りられなくなり、壁にすがりつきながら降りたのを覚えている。自分がこれまでスクワットと思ってやっていたことは、単なる屈伸運動だったと思い知った瞬間だった。その後、片足スクワット、そしてバックスクワットとどんどんきつくなっていった。自分でもやった方がいいといわれて、毎日昼休みに自分でスクワットを20回×5セットをやるようにした。その成果か、トレーニングを始めて4ヶ月後には、70キロのバーベルを肩に担いで、バックスクワットをやれるようにまでなった。
Rでは有酸素運動はほとんどなく、筋肉を鍛える無酸素運動中心のトレーニングメニューである。さまざまな筋トレをするが、毎回やったトレーニングはすべて記録されていて、前回の負荷を見ながら少しずつ負荷を上げていく。毎回トレーニングが終わるとへとへとになったが、一方で達成感もあった。
当然トレーニングをやった1~2日後には、筋肉がパンパンに張るので、ストレッチや整体に通ったりして、自分なりに体のケアを行った。だんだん筋トレに慣れてきて、自分でもできるようになってきたので、通っていたスポーツクラブでも、フリーウェイトゾーンでベンチプレスやバックスクワットなどの筋トレをやるようになった。これまでフリーウェイトゾーンで筋トレに励んでいるマッチョな人たちの気持ちがわからなかったが、だんだん筋トレするのが楽しくなり、休日だけではなく、平日の仕事の後も、スポーツクラブに行くようになった。スポーツクラブでは、これまでは、主にダイエットにいいと思って、ウォーキングなどの有酸素運動を中心にしていたが、有酸素運動だけでは一時的に体重は落ちても太りにくい体にはならないということを教えられてからは、最初に筋トレを集中してやり、最後にウォーキングをやるように変わった。
そして一番うれしかったのが、筋トレの成果で、ゴルフの球が飛ぶようになったことである。スクワットに取り組んだことが大きいと思うが、減量すると飛距離が落ちると心配していたのだが、逆に下半身の筋力アップで、ドライバーが20ヤード程度飛ぶようになった。
5―結果について
ちょうどRを始めて約2ヶ月後の6月13日に人間ドックを受けたので、その中の特定健康診査受診結果の一部のデータを図表2にまとめてみた。見ていただくと、血圧、脂質、肝機能、糖代謝の数値がいずれも改善している。脂質は、中性脂肪が大きく改善、LDLコレステロールが低下した。肝機能については、GOT、GPTといった脂肪肝が関係する数値が改善し、お酒の飲みすぎによる肝機能の悪化を示す指標であるγ-GTPも改善した。糖代謝では、糖尿病の指標であるHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)が改善した。糖負荷を見るため、トレーランを服用した経口ブドウ糖負荷検査も行っている。これはサイダーのような甘い液体を服用して、1時間後、2時間後に採血して、血糖値を調べるものだが、トレーラン服用2時間後の血糖値が大きく改善している。これは血糖値が上がるのに合わせて、インスリンが出て血糖値を下げている証であり、糖尿病になりにくい体質に変わってきていることを示している。産業医の先生も、わずか2ヶ月程度でRに通った効果が明確に数値に表れていると驚かれていた。このように体重減少だけでなく、健康になるという意味でも大きな成果があったと思われる。
6―まとめ
表題にある「糖質制限と筋トレで本当に健康的に痩せられるのか?」については私に関しては成果が出たといえる。(ただし、糖尿病や腎臓病などをお持ちの方は事前に主治医によく相談する必要がある。)
筋トレをやらずに糖質制限だけをやった場合は、体重は減るが、合わせて筋肉量も落とし、基礎代謝も下げてしまい、リバウンドしやすくなると思われる。これでは「健康的に痩せる」のではなく、「やつれる」ことになる。また極端な糖質制限を長期間に亘って続けることは、医学的にも安全であるという証明がされていないので、止めたほうがいいと思う。
糖質制限とカロリー制限のどちらがダイエットにいいかといった議論がされているが、どちらも有効だと思うが、糖質制限の方が、計算がしやすい、たとえば、朝から食べた糖質量を計算していき、一日の糖質摂取量をコントロールすることが簡単にできるといったメリットがあり、短期間集中のダイエットとしては成果が出やすく向いているように思う。一方で長期に亘る極端な糖質制限は好ましくないので、集中ダイエット期間後は、糖質制限を緩和しながら、カロリーにも気を配った食生活を心がけるのが望ましいと思う。
また糖質制限しても、ステーキなどはいくら食べてもいいとか、糖質ゼロのアルコールはいくら飲んでもいいなどの考え方で糖質制限に取り組むのは好ましくなく、野菜、魚や鳥の胸肉などを中心にして、LDLコレステロールを上げないような食事に気をつけたほうが良いと思われる。
Rでは、この集中ダイエット期間後のリバウンドが心配であるといわれている。Rによれば、リバウンド率(元の体重まで戻る人の割合)は7%となっているが、私の知っているRに通った人を見ると体重が戻っている人もいるようだ。集中ダイエット期間中は、すべての食事を報告し、それに対するアドバイスもくるので、ほとんどの人ががんばって減量するが、プログラム終了後、元のような不健康な食生活に戻ってしまうと当然、元に戻るのだろう。私もそうならないよう今後も健康に気をつけた生活を続けたいと思う。
7―おわりに
ニッセイ基礎研究所では、2018年2月より、「医療制度・ヘルスケア早分かり」のコーナーを立ち上げ、健康、医療に関する情報提供を行っている3。また2018年4月より、ヘルスケアリサーチセンターを新設し、今後、さらに健康に関する研究を深め、皆様のお役に立てるような情報発信を進めていきたいと考えている。
ぜひ読者の皆様にお読みいただき、ご意見、ご感想をお聞かせいただきたい。
よろしくお願いいたします。
2 「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標
3 http://www.nli-research.co.jp/report_tag/tag_id=161?site=nli
- 日本糖尿病学会(2013)「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言」
- 白澤卓二(2013)『肥満遺伝子-やせるために知っておくべきこと』祥伝社
(2018年09月03日「基礎研レポート」)
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手島 恒明
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