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- 年金改革ウォッチ 2018年7月号~ポイント解説:基礎年金の水準低下
2018年07月03日
1 ―― 先月までの動き
年金事業管理部会では、今年初めに発覚した外部委託業者の契約違反に伴う事案の調査について、今後の対応策等が議論されました。年金部会では、来年の財政検証に向けて、足下の財政状況や、財政検証の経緯や意義について、事務局からの説明を元に意見交換が行われました。
○社会保障審議会 年金事業管理部会
6月 4日(第36回) 業務委託のあり方等に関する調査委員会報告書、平成29年度業務実績、他
URL http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209934.html (配布資料)
6月29日(第37回) 業務委託等の見直し、機構に対する業務改善命令(諮問)、他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000213396.html (配布資料)
○社会保障審議会 年金部会
6月22日(第2回) 平成28年度公的年金財政状況報告、財政検証の意義・役割
URL http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815.html (配布資料)
○社会保障審議会 年金事業管理部会
6月 4日(第36回) 業務委託のあり方等に関する調査委員会報告書、平成29年度業務実績、他
URL http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209934.html (配布資料)
6月29日(第37回) 業務委託等の見直し、機構に対する業務改善命令(諮問)、他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000213396.html (配布資料)
○社会保障審議会 年金部会
6月22日(第2回) 平成28年度公的年金財政状況報告、財政検証の意義・役割
URL http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815.html (配布資料)
2 ―― ポイント解説:基礎年金の水準低下
年金部会では、将来の基礎年金の水準が決まる構造や、その水準が現在よりも大きく低下する見通しであることが話題になりました。本稿では、このような基礎年金を巡る問題と解決策を確認します。
2|問題の影響:賃金が低いほど、削減が大きい
会社員OBの世帯が受け取る年金は、基礎年金と厚生年金の合計です。厚生年金の額は現役時の平均賃金に比例して決まるので、現役時の賃金が低いほど厚生年金の額が小さくなり、結果として年金に占める基礎年金の割合が大きくなります。
他方、前述のように、将来的には基礎年金の方が大きく削減される見通しになっています。そのため、基礎年金への依存度が高い人、すなわち現役時の賃金が低い人ほど年金全体の低下率が大きくなる、いわば逆進的な削減になっています。
3|根本的な対策:削減停止を1・2階で同時に
このような逆進的な削減を避けるためには、削減停止を判断する仕組みを現行の2段階から1段階にする、つまり基礎年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の削減を同時に停止する仕組みに変えることが、根本的な対策になります。
削減停止を同時にすると、1階部分と2階部分の低下率が同じなので、どの賃金水準の人も年金全体の低下率が同じになります。
ただし、同時停止を実現するには、基礎年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)をどのようなバランスで固定するか*1などの論点があります。まずは検討の俎上に載せて、議論を始めることが重要でしょう。
*1 特例措置などの影響で、現在は、いまの仕組みになった2004年当時と比べて基礎年金のウエートが大きくなっている。基礎年金のウエートを下げるために、財政状態が良い厚生年金の給付削減のみを一時的に停止して、その間、基礎年金だけを削減するのも一案だが、どの水準が適正かは別途の議論が必要。
会社員OBの世帯が受け取る年金は、基礎年金と厚生年金の合計です。厚生年金の額は現役時の平均賃金に比例して決まるので、現役時の賃金が低いほど厚生年金の額が小さくなり、結果として年金に占める基礎年金の割合が大きくなります。
他方、前述のように、将来的には基礎年金の方が大きく削減される見通しになっています。そのため、基礎年金への依存度が高い人、すなわち現役時の賃金が低い人ほど年金全体の低下率が大きくなる、いわば逆進的な削減になっています。
3|根本的な対策:削減停止を1・2階で同時に
このような逆進的な削減を避けるためには、削減停止を判断する仕組みを現行の2段階から1段階にする、つまり基礎年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の削減を同時に停止する仕組みに変えることが、根本的な対策になります。
削減停止を同時にすると、1階部分と2階部分の低下率が同じなので、どの賃金水準の人も年金全体の低下率が同じになります。
ただし、同時停止を実現するには、基礎年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)をどのようなバランスで固定するか*1などの論点があります。まずは検討の俎上に載せて、議論を始めることが重要でしょう。
*1 特例措置などの影響で、現在は、いまの仕組みになった2004年当時と比べて基礎年金のウエートが大きくなっている。基礎年金のウエートを下げるために、財政状態が良い厚生年金の給付削減のみを一時的に停止して、その間、基礎年金だけを削減するのも一案だが、どの水準が適正かは別途の議論が必要。
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経歴
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
(2018年07月03日「保険・年金フォーカス」)
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