2018年07月02日

肥満傾向の都道府県差~成人は最大で5kg程度の差

保険研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任   村松 容子

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1――国全体の平均BMIの推移(成人)

図表1 平均BMIの推移(40~69歳) まず、厚生労働省による「国民健康・栄養調査(各年)」から、日本全体における40~69歳の平均BMIの推移を5年おきに図表1に示す4

今では、中高年男性のBMIは女性のBMIより高いものだと考えられがちであるが、1976年当時は女性の方が高かった。1976年以降、男性のBMIは上昇、女性のBMIは減少し続け、1991年に男性が女性を抜いている。
図表2 年代別平均BMIの推移 1976年と直近2016年の年齢別の平均BMIを比べると、男性はすべての年代で上昇し、女性は70歳未満で低下している。男女を比較すると、1976年は中高年以降で、女性のBMIが男性を上回っていたが、2016年ではすべての年代で男性のBMIが女性を上回っている。以前は、高齢者のBMIが低く、栄養不足の傾向が指摘されてきたが、今では以前と比べるとBMIをキープしているようだ。
 
 
4 肥満について考える際、BMIが25 kg/m2以上の割合の推移を示すのが妥当かもしれないが、次節に示す都道府県別については、平均BMIしか公表されていないため、ここでも平均BMIを使った。
 

2――都道府県別 平均BMI(成人)

2――都道府県別 平均BMI(成人)

BMIには、都道府県差があることが知られている。年齢調整後の平均BMIを都道府県別にみる5と、男女には一定の相関があり(相関係数=0.43)、おおむね都市部で低い傾向が、地方部で高い傾向がある。都道府県別にみると、青森県、宮城県、福島県、岡山県、宮崎県は男女ともに高く、東京都と京都府は男女ともに低い。一方、沖縄県は女性のみが、高知県は男性のみが、それぞれ高い。

男性の最高25.10kg/m2(高知県)と最低23.10 kg/m2(新潟県)の差は2.0 kg/m2、女性の最高23.90 kg/m2(福島県)と最低21.80 kg/m2(福岡県)の差は2.1 kg/m2の差がある。平均的な身長6だとすれば、男性で5.6kg、女性で5.0kg程度の体重差がある計算となる。
図表3 都道府県別平均BMI(2016年)
都道府県別の平均BMIは、2012年と2016年の2時点分しか公表されていないが、この2時点の標準偏差を比較すると、男性はいずれも0.42 kg/m2、女性は2012年が0.50 kg/m2で2016年が0.48 kg/m2と、都道府県のバラツキ度に変化はない。
 
 
5 公表されているのは、20~69歳男性の平均(年齢調整済)と、40~69歳女性の平均(年齢調整済)である。なお、年齢構成の影響を排除するために、年齢調整済の数値を使う。
6 厚生労働省「国民健康・栄養調査(2016年)」によれば、20歳以上の平均身長は、男性が167cm、女性が154cmである。
 

3――都道府県別 肥満傾向児の割合(子ども)

3――都道府県別 肥満傾向児の割合(子ども)

子どもの肥満にも、都道府県による特徴があるだろうか。

文部科学省による「学校保健統計」では、小学生から高校生までの都道府県別肥満傾向児7の割合を公表している。中学生の肥満児傾向の割合を都道府県別にみると、やはり地域差があり、都市部で低く、地方で高い傾向が成人と共通している。都道府県別にみると、青森県、宮城県、福島県は成人男女、中学男女いずれも高く、京都府は成人男女、中学男女いずれも低い(成人との相関は図表3男性と中学男子で0.45、図表3女性と中学女子で0.52)。

中学男子で肥満傾向児が最高の岩手県(13.52%)と最低の島根県(6.37%)の差は7ポイント、中学女子で最高の青森県(11.43%)と最低の滋賀県(5.52%)の差は6ポイントだった。
図表4 都道府県別肥満傾向児の割合(2016年度)
図表5 肥満傾向児の割合の推移 この基準を使い始めた2007年度以降を時系列でみると、肥満傾向児の割合は、男女とも低下している。

本稿では、中学生の肥満傾向を紹介したが、小学生、高校生においてもおおむね同様の傾向がある。
 
 
7 肥満傾向児とは、性・年齢別・身長別の標準体重から算出した肥満度 が20%以上の体重の児童をいう。2007年からこの基準を使用している。肥満度=(実測体重-身長別標準体重)÷身長別標準体重×100で計算する。
 

4――まとめ

4――まとめ

内臓脂肪型肥満は、心疾患や脳血管疾患などの重篤な疾病の原因となる「動脈硬化」を起こす要因となる高血圧や糖尿病、高脂血症等を引き起こしやすい。日本では、BMIが25 kg/m2以上を肥満とし、必要に応じて生活習慣指導を行っている。

日本全体の成人についてみると、1976年以降、男性(20~69歳)のBMIは上昇、女性(40~69歳)のBMIは低下しており、2016年には男性の3割が25を超えて肥満に分類される(女性は2割)。また、子どもの肥満傾向児の割合は、近年、男女とも低下傾向にあるが、2016年の中学生で8~9%となっている。

成人の平均BMIと子どもの肥満傾向児の割合は、都道府県によって差がある。成人の平均BMIの差は、体重で換算すると(身長は平均値)、男女とも最大で5kg程度あり、子どもの肥満傾向児の割合の差は男女とも最大6~7ポイント程度である。

肥満傾向の都道府県差は、食生活や歩行数・移動時の車利用状況などの生活習慣や、所得や学歴等の社会的要因と関連づけて考えられている。実際は、これらの複合的な要因によると考えられるが、成人と子どもが共通して肥満傾向がある都道府県も多いことから、個人の健康意識を上げていくとともに、気象や就労環境など地域に特有の条件にあわせた取組が必要だろう。
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保険研究部   准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療

(2018年07月02日「基礎研レター」)

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