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- 鉱工業鉱工業生産18年5月-4-6月期は2四半期ぶりの増産が確実だが、IT関連は調整が続く
2018年06月29日
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1.生産は4ヵ月ぶりに低下
経済産業省が6月29日に公表した鉱工業指数によると、18年5月の鉱工業生産指数は前月比▲0.2%(4月:同0.5%)と4ヵ月ぶりに低下したが、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲1.1%、当社予想は同▲1.2%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比▲1.6%と4ヵ月連続ぶりの低下、在庫指数は前月比0.6%と2ヵ月ぶりに上昇した。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は18年1-3月期の前期比▲0.5%の後、4月が前月比2.5%、5月が同▲4.6%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は18年1-3月期の前期比▲4.5%の後、4月が前月比3.6%、5月が同0.1%となった。4、5月の平均を1-3月期と比較すると、資本財(除く輸送機械)が1.7%、建設財が4.1%高い水準にある。

消費財出荷指数は18年1-3月期の前期比▲0.9%の後、4月が前月比4.5%、5月が同▲3.8%となった。5月は非耐久消費財が前月比1.9%(4月は同2.2%)の上昇となったが、耐久消費財が前月比▲9.1%(4月は同7.3%)の大幅低下となった。消費財出荷指数の4、5月平均は1-3月期よりも4.2%高い。
18年1-3月期のGDP統計の民間消費は前期比▲0.1%と2四半期ぶりの減少となった。消費の基調は依然として弱いものの、大雪や生鮮野菜の価格高騰などの一時的な下押し要因が剥落したことから、4-6月期の民間消費は増加に転じることが見込まれる。業界統計、商業動態統計などの消費関連指標は4月が強め、5月が弱めとなっているが、1-3月比では持ち直しを示すものが多い。
2.IT関連の調整には引き続き警戒が必要
IT関連財の出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は4月の▲25.8%ポイントから5月には▲23.9%ポイントと若干改善したが、依然として大幅なマイナスとなっている。IT関連財は引き続き在庫調整局面にあると考えられる。品目別には、半導体集積回路、ビデオカメラ、パソコンなどの在庫が大きく積み上がっている。
製造工業生産予測指数は、18年6月が前月比0.4%、7月が同0.8%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(5月)、予測修正率(6月)はそれぞれ▲1.4%、▲0.2%であった。
なお、6、7月の予測指数は6/10時点で調査されており、6/18に発生した大阪府北部を震源とする地震の影響は織り込まれていない。大阪北部地震では自動車、電機、化学など幅広い業種で一時的に工場の操業停止を余儀なくされた。すでに生産を再開している工場も多く、現時点ではサプライチェーンに深刻な影響は出ていないとみられるが、6月の生産が予測指数から大きく下振れることは避けられないだろう。逆に、7月は挽回生産によって上振れる可能性がある。
なお、6、7月の予測指数は6/10時点で調査されており、6/18に発生した大阪府北部を震源とする地震の影響は織り込まれていない。大阪北部地震では自動車、電機、化学など幅広い業種で一時的に工場の操業停止を余儀なくされた。すでに生産を再開している工場も多く、現時点ではサプライチェーンに深刻な影響は出ていないとみられるが、6月の生産が予測指数から大きく下振れることは避けられないだろう。逆に、7月は挽回生産によって上振れる可能性がある。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年06月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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