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多くの人の確定拠出年金は、ほとんどをリスク性資産に
金融研究部 研究理事 年金研究部長 兼 年金総合リサーチセンター長 德島 勝幸
そもそも日本の公的年金においては、住居費負担の有無や居住地域の物価水準、単身か夫婦かなどの差はあるものの、老齢基礎年金だけですべての生活費を賄うことは容易でないし、想定されていないと考えるべきである。定年によって雇用先からの退職を強いられる被用者は、退職前の報酬に応じた老齢厚生年金が給付される。もし退職後も雇用が継続でき所得が得られるのなら、年金給付額を多少削減されるのも、制度的には理に適っているように見える。結局のところ、少しでも豊かな老後生活を確保するためには、確定給付型企業年金は勤務先の制度設定次第であって能動的な立場になく、個人の自助努力次第であることが自明である。
そもそも家計の保有する金融資産全体を見ると、日本銀行の公表している資金循環統計(2017年12 月末速報)では、現金・預金が51.1%で、保険受給権等が14.4%を占めている。つまり、既に資産の約3分の2を安全な対象に振り向けているのである。それに加えて、確定拠出年金でも元本確保型商品を半分以上も持つ必要があるのか。世帯が保有する金融資産全体で考えると、現状では、過半どころか、ほとんどが安全資産になっているのである。確定拠出年金での運用資産には、元本確保型商品を組込まなくても良いのではないかとすら思える。
平均ではなく個々人の資産を見た場合には、確定拠出年金以外にも、NISA や株式投資、投資信託といった形でリスク性資産に投資していることもあろう。それならば、確定拠出年金では、過大な価格変動リスクを回避することもおかしくない。しかし、銀行預金や社内預金、保険会社の貯蓄性保険といった商品が多い個人の場合には、確定拠出年金ではリスクを取って運用することが、現代ポートフォリオ理論に基づく資産配分として肯定されるのである。単純に確定拠出年金の中だけでの資産配分を考えるのではなく、世帯の金融資産全体がどのような配分になっているのかを改めて確認しておくべきだろう。
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(2018年07月04日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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