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- 中国経済:景気指標の総点検(2018年夏季号)~GDPではなく景気10指標でみた実態
3.その他の景気4指標
電力消費量の動きをみると、15年にゼロ成長へ落ち込んだあと、16年には前年比5.0%増、17年には同6.6%増、18年1-5月期は同9.8%増と加速してきた(図表-11)。なお、4月は前年比7.8%増、5月は11.4%増と、振れは大きいものの1-3月期の同9.8%増とほぼ同水準で推移している。
【道路貨物輸送量】
道路貨物輸送量の動きをみると、1-5月期は前年比8.0%増と1-3月期の同7.4%増を上回った。中国交通運輸部の公表データを元に4-5月期の伸びを推計すると同8.9%増となり加速したことが分かる(図表-12)。なお、鉄道貨物輸送量も5月は前年比11.8%増と高い伸びを示した。
工業生産者出荷価格の動きをみると、3月の前年比3.1%上昇を底に、4月は同3.4%上昇、5月は同4.1%上昇と再び上昇率を高めた(図表-13)。原油の国際市況が上昇したのに加えて、鋼材価格も3月に底打ちし、生産財は上昇に転じている。なお、今のところ消費財は落ち着いている。
【通貨供給量(M2)】
金融面の代表指標である通貨供給量(M2)の動きを見ると、4月・5月ともに前年比8.3%増と低い伸びが継続、1-3月期の平均(同8.5%増)を下回った。また、社会融資総量の動きを見ると、人民元建て融資の伸びは緩やかな鈍化に留まったものの、シャドーバンキング(委託融資等)の伸びは急減速、マクロプルーデンス政策による引き締め効果がでてきた(図表-14)。
4.総合指標
以上で概観した景気10指標を、それぞれ3ヵ月前と比べて上向きであれば“○”、下向きであれば“×”として一覧表にしたのが図表-16である。需要面をみると、小売売上高が3ヵ月ぶりに“×”、固定資産投資は3ヵ月連続で“×”、輸出金額は4ヵ月ぶり“×”に転じており、需要面の景気指標は悪化した。一方、供給面をみると、工業生産は“○”と“×”が交互に訪れる一進一退だが、製造業PMIが2ヵ月連続で“○”、非製造業PMIは4ヵ月ぶりに“○”に転じ、供給面の景気指標は概ね良好である。また、電力消費量は“×”、道路貨物輸送量は“○”、工業生産者出荷価格“○”、通貨供給量は“×”と、強弱が入り混じるまちまちな状況にある。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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三尾 幸吉郎
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(2018年06月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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