2018年05月08日

オフィス市況は好調維持。Jリート市場は復調。-不動産クォータリー・レビュー2018年第1四半期

金融研究部 主任研究員 佐久間 誠

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5.J -REIT(不動産投信)・不動産投資市場

2018年第1四半期の東証REIT指数(配当除き)は、2017年12月末比1.5%上昇し、TOPIXを3ヶ月連続でアウトパフォームした。セクター別では、住宅(▲0.4%)と商業・物流等(▲0.6%)が下落した一方で、オフィス(+4.0%)が上昇した(図表-29)。3月末時点のバリュエーションは、純資産9.1兆円に保有物件の含み益2.5兆円を加えた11.6兆円に対して時価総額は約11.9兆円でNAV倍率は1.0倍、分配金利回りは4.2%で10年国債利回り(0.04%)とのスプレッドは4.1%である。需給面では、リテール向けJリート投信からの資金流出が継続する一方、地域金融機関による上場ETFへの投資や海外投資家による買いが市場を下支えした。
図表-29 東証REIT指数(配当除、2017年12月末=100)
2018年第1四半期の新規上場は2社、市場全体の物件取得額は7,050億円(前年比+26%)となり、2013年以来の高水準となった(図表-30)。アセットタイプ別の取得割合を見ると、オフィスビル(26%→38%)と物流(25%→35%)が上昇する一方で、ホテル(21%→6%)と商業施設(16%→10%)は低下した(図表-31)。
図表-30 J-REIT による物件取得額
図表-31 J-REIT による物件取得割合
日経不動産マーケット情報によると、2018年第1四半期の不動産売買額は約1.3兆円(前年比+0.5%)となり、6四半期連続で前年同期を上回った。関電不動産開発など7社が取得した芝パークビル(約1,500億円)や日本生命保険が取得した新日石ビルディング(約500億円)などオフィスビルの大型取引が目立った。ニッセイ基礎研究所が1月中旬に実施した不動産投資市場に関するアンケート7によると、「今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資セクター」について、「オフィスビル」の割合が前年の19.7%から29.2%へ増加し、オフィスビルへの投資意欲が高まっている(図表-32)。
図表-32 今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資セクター
海外投資家による日本の不動産取得額は、2017年に大きく増加したが、2018年第1四半期は、2016年の水準まで減少している(図表-33)。
図表-33 海外投資家による日本の不動産取得額
 
 

(ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
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金融研究部   主任研究員

佐久間 誠 (さくま まこと)

研究・専門分野
不動産市場、金融市場、不動産テック

経歴
  • 【職歴】  2006年4月 住友信託銀行(現 三井住友信託銀行)  2013年10月 国際石油開発帝石(現 INPEX)  2015年9月 ニッセイ基礎研究所  2019年1月 ラサール不動産投資顧問  2020年5月 ニッセイ基礎研究所  2022年7月より現職 【加入団体等】  ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター  ・日本証券アナリスト協会検定会員

(2018年05月08日「不動産投資レポート」)

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