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- 強まるトランプ政権の通商圧力-EUは何か差し出すのか?
2018年04月20日
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■要旨
- トランプ政権が、通商圧力を強め、短期決戦で米国に貿易黒字を計上している国・地域から譲歩を引き出そうとしている。その戦略は一定の成果を挙げているようだ。
- 中国と米国の貿易戦争への不安は中国が外資規制緩和や知的財産権保護の強化などの方針を表明したことで後退したが、今後も米中間の摩擦は燻りつづけるだろう。
- 日本は米国と協議を開始することになったが、TPP復帰を期待する日本と二国間交渉で貿易不均衡と貿易障壁是正の具体的成果を求めるトランプ政権の隔たりは大きい。トランプ政権が成果を急ぐ背景には、11月に中間選挙に加え、TPP11と日EU・EPAの手続きが進み、日本市場へのアクセスで不利な状況に置かれるリスクが現実味を増したことがある。
- トランプ大統領の通商政策への懸念と19年3月に迫る英国のEU離脱が、日本とEUをEPAの加速に動かした。
- EUは、米国の鉄鋼・アルミニウムの追加関税はWTOルール違反との立場だ。他方で、適用除外の期限の5月1日が迫り、恒久化のために譲歩をするか、決断を迫られている。近く予定される米仏、米独首脳会談の結果が注目される。
- トランプ大統領は、特にドイツに強い不満を抱いていると思われる。ドイツは通商交渉の権限も通貨主権もEUに委譲しているため、トランプ大統領が好む二国間の交渉とはなり得ない。米国は、EUの規格や基準認証制度などの貿易の技術的障壁を問題視している。棚上げとなっていたTTIPの交渉再開へと展開するかも注目点だ。
(2018年04月20日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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