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- 月次GDPから見た最近の景気動向~18年1-3月期はマイナス成長の可能性が高まるが、回復基調は維持~
2018年04月13日
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(月次GDPから見た足もとの景気動向)
2018年2月までの経済指標がほぼ出揃った段階で作成した月次GDPは、2017年12月が前月比▲0.1%、2018年1月が同▲0.1%、2月が同▲0.5%と3ヵ月連続のマイナスとなった(図表6、予測値の詳細表は最終ページに掲載)。3ヵ月移動平均では、2018年2月に1年2ヵ月ぶりに前月比マイナスとなった。
2018年2月までの経済指標がほぼ出揃った段階で作成した月次GDPは、2017年12月が前月比▲0.1%、2018年1月が同▲0.1%、2月が同▲0.5%と3ヵ月連続のマイナスとなった(図表6、予測値の詳細表は最終ページに掲載)。3ヵ月移動平均では、2018年2月に1年2ヵ月ぶりに前月比マイナスとなった。
前述したように、当研究所の月次GDPは3ヵ月合計(季節調整値は3ヵ月平均)が四半期のGDPと一致するように作成されている。2018年1、2月の平均は2017年10-12月期よりも▲0.3%低くなっており、2018年1-3月期がプラス成長となるためには3月の月次GDPが前月比1.2%以上の伸びとなる必要がある。
3月の月次GDPは、輸出が春節の影響剥落から高い伸びとなること、天候不順や生鮮野菜の価格高騰の影響が和らいだことにより民間消費が3ヵ月ぶりの増加となることなどから、前月比0.8%の高い伸びとなることを想定している。しかし、1、2月の落ち込みを取り戻すまでには至らず、現時点では2018年1-3月期の実質GDPは前期比▲0.1%(前期比年率▲0.4%)と2015年10-12月期以来、9四半期ぶりのマイナス成長になると予想している。
もちろん、来週以降(4/16~)に公表される3月の経済指標の結果によって1-3月期の成長率は大きく変わりうるが、2017年10-12月期の前期比年率1.6%からの急減速は不可避だろう。
ただし、2018年1-3月期がマイナス成長となったとしても景気の回復基調が途切れてしまったと判断するのは早計だ。国内需要の柱である民間消費(前期比0.2%を予想)、設備投資(前期比0.7%を予想)は2017年10-12月期に続いて揃って増加することが見込まれるためである。民間消費の伸びは10-12月期の前期比0.5%から鈍化することが予想されるが、生鮮野菜の価格高騰によって実質所得が大きく低下する中では健闘したとの評価も可能だ。
また、外需は2017年10-12月期に続き小幅なマイナス寄与となる可能性が高いが、その理由は輸出(前期比1.4%を予想)が底堅さを維持する一方、輸入(前期比1.7%を予想)が前期に続き輸出を上回る高めの伸びとなるためである。GDP統計上は輸入の増加は成長率にマイナスに寄与するが、国内需要の底堅さを反映している面もあり、少なくとも景気の悪化を示すものではない。
また、1-3月期の成長率が急低下する一因は、民間在庫変動による実質GDPの大幅な押し下げ(前期比・寄与度▲0.2%を予想)が見込まれることであるが、この点も最終需要の弱さを示すものではない。在庫変動を除いた最終需要は引き続きプラスの伸びを確保する可能性が高いだろう。
民間在庫変動は4形態(原材料、仕掛品、製品、流通品)のうち、原材料、仕掛品については1次速報では内閣府による仮置き値が用いられることにも注意が必要だ。2017年10-12月期2次速報時に内閣府が公表した仮置き値は、原材料、仕掛品ともに前期差マイナスで、実質GDP 成長率に対する寄与度は合わせて前期比▲0.2%強(年率▲1%弱)であった。
3月の月次GDPは、輸出が春節の影響剥落から高い伸びとなること、天候不順や生鮮野菜の価格高騰の影響が和らいだことにより民間消費が3ヵ月ぶりの増加となることなどから、前月比0.8%の高い伸びとなることを想定している。しかし、1、2月の落ち込みを取り戻すまでには至らず、現時点では2018年1-3月期の実質GDPは前期比▲0.1%(前期比年率▲0.4%)と2015年10-12月期以来、9四半期ぶりのマイナス成長になると予想している。
もちろん、来週以降(4/16~)に公表される3月の経済指標の結果によって1-3月期の成長率は大きく変わりうるが、2017年10-12月期の前期比年率1.6%からの急減速は不可避だろう。
ただし、2018年1-3月期がマイナス成長となったとしても景気の回復基調が途切れてしまったと判断するのは早計だ。国内需要の柱である民間消費(前期比0.2%を予想)、設備投資(前期比0.7%を予想)は2017年10-12月期に続いて揃って増加することが見込まれるためである。民間消費の伸びは10-12月期の前期比0.5%から鈍化することが予想されるが、生鮮野菜の価格高騰によって実質所得が大きく低下する中では健闘したとの評価も可能だ。
また、外需は2017年10-12月期に続き小幅なマイナス寄与となる可能性が高いが、その理由は輸出(前期比1.4%を予想)が底堅さを維持する一方、輸入(前期比1.7%を予想)が前期に続き輸出を上回る高めの伸びとなるためである。GDP統計上は輸入の増加は成長率にマイナスに寄与するが、国内需要の底堅さを反映している面もあり、少なくとも景気の悪化を示すものではない。
また、1-3月期の成長率が急低下する一因は、民間在庫変動による実質GDPの大幅な押し下げ(前期比・寄与度▲0.2%を予想)が見込まれることであるが、この点も最終需要の弱さを示すものではない。在庫変動を除いた最終需要は引き続きプラスの伸びを確保する可能性が高いだろう。
民間在庫変動は4形態(原材料、仕掛品、製品、流通品)のうち、原材料、仕掛品については1次速報では内閣府による仮置き値が用いられることにも注意が必要だ。2017年10-12月期2次速報時に内閣府が公表した仮置き値は、原材料、仕掛品ともに前期差マイナスで、実質GDP 成長率に対する寄与度は合わせて前期比▲0.2%強(年率▲1%弱)であった。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年04月13日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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