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- 鉱工業生産18年2月-1-3月期は8四半期ぶりの減産へ
2018年03月30日
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1.2ヵ月ぶりの上昇も、1月の落ち込みを取り戻せず
経済産業省が3月30日に公表した鉱工業指数によると、18年2月の鉱工業生産指数は前月比4.1%(1月:同▲6.8%)と2ヵ月ぶりに上昇したが、事前の市場予想(QUICK集計:前月比5.0%、当社予想は同5.7%)を下回る結果となった。出荷指数は前月比2.2%と2ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比0.9%と4ヵ月ぶりに上昇した。
2月の生産は高めの伸びとなったが、1月の落ち込みを取り戻すまでには至らなかった。1月に続き大雪の影響で一部の工場が操業停止となったことが生産を下押ししたとみられる。
2月の生産は高めの伸びとなったが、1月の落ち込みを取り戻すまでには至らなかった。1月に続き大雪の影響で一部の工場が操業停止となったことが生産を下押ししたとみられる。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は17年10-12月期の前期比4.3%の後、18年1月が前月比▲5.2%、2月が同▲1.3%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は17年10-12月期の前期比0.8%の後、18年1月が前月比▲9.2%、2月が同1.8%となった。1、2月の平均を10-12月期と比較すると、資本財(除く輸送機械)は▲2.3%、建設財は▲4.9%低い水準にある。
17年10-12月期のGDP統計の設備投資は前期比1.0%と5四半期連続で増加した。企業収益の大幅増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景とした設備投資の回復基調は維持されているが、18年1-3月期はいったん足踏みとなる可能性が出てきた。
17年10-12月期のGDP統計の設備投資は前期比1.0%と5四半期連続で増加した。企業収益の大幅増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景とした設備投資の回復基調は維持されているが、18年1-3月期はいったん足踏みとなる可能性が出てきた。
2.1-3月期は8四半期ぶりの減産が確実に
製造工業生産予測指数は、18年3月が前月比0.9%、4月が同5.2%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(2月)、予測修正率(3月)はそれぞれ▲2.7%、0.9%であった。
実現率が1月の▲3.7%に続き大幅なマイナスとなったことは大雪の影響が大きいとみられるため、それほど悲観する必要はない。一方、3月の予測指数の伸びは前月時点のマイナスからプラスに転じたが、2月実績が下振れたことを踏まえれば強い数字とは言えない。
実現率が1月の▲3.7%に続き大幅なマイナスとなったことは大雪の影響が大きいとみられるため、それほど悲観する必要はない。一方、3月の予測指数の伸びは前月時点のマイナスからプラスに転じたが、2月実績が下振れたことを踏まえれば強い数字とは言えない。

IT関連財の在庫は17年11月以降、前年比で二桁の伸びが続いている(2月は前年比11.8%)。2月は出荷が1月の前年比▲0.2%から同▲6.3%へとマイナス幅が急拡大したため、IT関連財の出荷・在庫バランス(出荷・前年比-在庫・前年比)は1月の▲10.6%から▲18.2%へと急速に悪化した。
輸出が底堅い動きを続けていること、鉱工業全体では在庫調整圧力が限定的にとどまっていることなどから、現時点では4-6月期は増産に転じるとみているが、IT関連財の調整が長期化すれば、生産の足踏み状態が長引く恐れがあるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年03月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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