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医療・ヘルスケア
2019年01月10日
病院の待ち時間、かかりすぎじゃない?-「3時間待ちの3分診療」は今は昔?
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1――はじめに
「3時間待ちの3分診療」と言う言葉があったことをご存知でしょうか。外来の待ち時間の長さとその後の診療時間の短さを揶揄する言葉でした。病院の外来で長時間待たされた経験がある人は多いのではないでしょうか。ここでは病院の待ち時間について見てみることにしましょう。
なお本レポートでは、「病院」の待ち時間について調査・解説しています。いわゆる「診療所(入院設備がない外来専用のものまたは19ベッドまでの設備のもの)」については対象としていません。
なお本レポートでは、「病院」の待ち時間について調査・解説しています。いわゆる「診療所(入院設備がない外来専用のものまたは19ベッドまでの設備のもの)」については対象としていません。
2――外来患者の待ち時間の実態
まず、厚生労働省が実施、発表している「受療行動調査」の結果を用いて、待ち時間の実態を見てみましょう。最新のデータは2018年9月に発表された「平成29年度受療行動調査(概数)の概況」です。調査実施は2017年です。
これによると、外来患者の診察等までの待ち時間は「15分未満」が26.1%で最も多く、次いで、「15分~30分未満」が23.1%、「30分~1時間未満」が20.4%となっており、これらをあわせた「待ち時間1時間未満」の割合は69.6%となっています。
「3時間待ちの3分診療」という言葉に出てくる「待ち時間3時間以上」は1.6%、「2時間以上」に対象を広げても5.4%、それぐらいかかるのが一般的だというような状況ではなさそうです。
筆者の感覚としては、案外、事前の印象ほどには待たされていないなという感じですが、皆さんはどう判断されるでしょうか。
なお、この調査結果では、他に「無回答」の人が7.6%いたので、図表1の各数値を足しあわせても100%にはなりません。以下の図表も同様ですのでご注意ください。
「3時間待ちの3分診療」という言葉に出てくる「待ち時間3時間以上」は1.6%、「2時間以上」に対象を広げても5.4%、それぐらいかかるのが一般的だというような状況ではなさそうです。
筆者の感覚としては、案外、事前の印象ほどには待たされていないなという感じですが、皆さんはどう判断されるでしょうか。
なお、この調査結果では、他に「無回答」の人が7.6%いたので、図表1の各数値を足しあわせても100%にはなりません。以下の図表も同様ですのでご注意ください。
1時間未満の比率を見ると、1996年には60.1%であったものが、2017年には69.6%にまで高まってきています。また長い待ち時間の象徴であった3時間以上の割合にはあまり変化はありませんが、1996年の2.1%から2017年の1.6%へと低下しています。
一般的には高齢化が進行すると病院にかかる人が増えると考えられますから、高齢化の進行の中、待ち時間を短縮してきていることは評価すべきことかと思います。
一般的には高齢化が進行すると病院にかかる人が増えると考えられますから、高齢化の進行の中、待ち時間を短縮してきていることは評価すべきことかと思います。
全体としての病院の外来についての満足度を聞いた「総合」では、「満足」と答えた人の割合が59.1%で、「ふつう」と答えた人が30.8%、「不満」と答えた人は4.3%だけでした。
これに対し、「診療までの待ち時間」だけについて聞いた結果では、「満足」が29.0%、「ふつう」が40%で、「不満」と答えた人の割合が26.3%と、他の項目に比べて著しく「不満」の割合が上がります。
少しずつ改善が見られているにしても、いまだ「待ち時間」は、患者の満足度をさらに引き上げるための重要な改善すべきポイントであることがわかります。
これに対し、「診療までの待ち時間」だけについて聞いた結果では、「満足」が29.0%、「ふつう」が40%で、「不満」と答えた人の割合が26.3%と、他の項目に比べて著しく「不満」の割合が上がります。
少しずつ改善が見られているにしても、いまだ「待ち時間」は、患者の満足度をさらに引き上げるための重要な改善すべきポイントであることがわかります。
もっとも分布が集中しているのは表の左上のあたりの、待ち時間が1時間未満で、診察時間が10分未満といったところでしょうか。
表の左下の方に表される「3時間待ちの3分診療」の近辺だった人はあまりいないようです。
表の左下の方に表される「3時間待ちの3分診療」の近辺だった人はあまりいないようです。
(2019年01月10日「基礎研レター」)
松岡 博司のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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