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東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2018年)-2018年~2024年のオフィス賃料・空室率
佐久間 誠
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4. 今後のAクラスビル新規供給、都区部オフィスワーカー数の見通しと経済見通し
東京都によると、東京都区部および都心5区のオフィスワーカー数は2015年をピークに、減少していくと予測されている。ただし、東京都や東京圏への人口の転入超過が高水準で続いていることもあり、当面はオフィスワーカー数の急激な減少はないと考えられる7(図表-9)。
ニッセイ基礎研究所では、日本経済は人口減少局面に入っているが、そのペースは想定されていたよりも緩やかで、今後10年間の実質GDP成長率は平均1.0%と予想している8(図表-10)。
7 2017年の東京都の転入超過数は75,498人で、前年の74,177人を上回った。また東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)への転入超過数は4年連続で10万人超である。景気回復により雇用環境が改善し、東京への人口流入が一段と進んでいる。
8 経済見通しは、ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2017~2027年度)」(2017.10.13)、斎藤太郎「2017~2019年度経済見通し-17年7-9月期GDP2次速報後改定」(2017.12.8)などを基に設定。
5. 東京都心部Aクラスビル市況見通し
東京都心部Aクラスビルの賃料は、2018年4Qから下落し、2021年3Qを底に反発する見通しである。標準シナリオでは、2021年3Qまでに2017年4Q対比▲18.5%の下落となるが、その後は上昇し、2023年4Qには同▲6.1%まで回復する。また、楽観シナリオでは、2018年3Qに2017年4Q対比+6.2%の上昇となった後に、2021年3Qには同▲8.1%まで下落し、2023年Q4期に同+4.0%へ上昇する。悲観シナリオでは、2021年Q3期に同▲29.6%減まで下落した後に、2023年Q4期には同▲17.0%に回復することが見込まれる。
Aクラスビルの空室率は、2018年後半と、2020年前半に上昇(市況悪化)した後、2020年4Qをピークに低下(改善)に転じる。その後、2023年から空室率の上昇が再開するが、2012年の水準までは上昇しない見通しである。
6. おわりに
しかし、本稿の推計では、2018年後半から賃料は下落を開始するという結果となった。2018年に竣工するビルの内定は順調に進んでいるものの、今年後半からは二次空室や三次空室が顕在化する可能性が高い。ただし、オフィス需要が急減したリーマンショック後のような大幅な賃料下落とはならず、緩やかな下落にとどまる見込みだ。2021 年には賃料は上昇基調に転じるが、2023年と2024年の大量供給が見込まれるため、成長サイクルの半ばで需給バランスが悪化し、賃料上昇も頭打ちとなることが予測される。
9 吉田資「良好な環境が続くも、地政学リスクを注視~価格のピークは東京五輪前、インフラ施設に注目~第14 回不動産市況アンケート結果」(2018.1.30)
(ご注意)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
(2018年02月08日「不動産投資レポート」)
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佐久間 誠
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