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東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2018年)-2018年~2024年のオフィス賃料・空室率
佐久間 誠
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1. はじめに
1 本稿ではAクラスビルとして三幸エステートの定義を用いる。三幸エステートでは、エリア(都心5区主要オフィス地区とその他オフィス集積地域)から延床面積(1万坪以上)、基準階床面積(300坪以上)、築年数(15年以内)および設備などのガイドラインを満たすビルからAクラスビルを選定している。また、基準階床面積が200坪以上でAクラスビル以外のビルなどからガイドラインに従いBクラスビルを、同100坪以上200坪未満のビルからCクラスビルを設定している。詳細は三幸エステート「オフィスレントデータ2018」を参照のこと。なお、オフィスレント・インデックスは月坪当りの共益費を除く成約賃料。
2 過去の市況見通しは竹内一雅「東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2017年8月)-2017年Q3期~2021年Q3期のオフィス賃料・空室率」(2017.8.21)、竹内一雅「東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2017年)-2017年~2023年のオフィス賃料・空室率」(2017.2.8)などを参照のこと。
2. 東京都心部Aクラスビルの空室率・賃料の推移
今回の賃料サイクル4は、2012年を起点に賃料上昇が始まったが、その動きは通常のサイクルとやや異なっている。まず、賃料上昇の序盤において、「2012年問題」とされた大量供給により需給バランスが悪化したため、空室率が上昇するなか、賃料が上昇に転じた。次に、賃料上昇の終盤に差し掛かった足元の動向を見ると、空室率が上昇していないにも係らず、2018年以降の大量供給への懸念が重石となり、賃料は伸び悩んでいる。景気拡大が長期に亘り、企業のオフィス床需要が拡大する一方で、Aクラスビルの大量供給が撹乱要因となり、現在の市況判断をより難しくしている(図表-5)。
3 三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発した成約賃料に基づくオフィスマーケット指標。
4 賃料サイクルは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図上を、その進展とともに時計回りに動く。賃料サイクルの起点を、賃料下落から上昇に転じる局面とすると、賃料サイクルは、通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、という動きになる。
3. 東京都心部Aクラスビルの賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積
三鬼商事のデータによると、都心5区全体の賃貸可能面積の増加は抑制されている。2013年以降、新規供給が抑制されていることに加え、滅失面積が比較的高水準であることが要因である。また、オフィスビルの賃貸面積は7年連続で増加しているものの、その増加面積は2012年をピークに縮小傾向にある。空室面積は6年連続で減少し、オフィスビルの需給は一段と引き締まっている(図表-7)。
5 森ビル「東京23 区オフィスニーズに関する調査」(2017.12.20)によれば、新規賃借予定のある企業の約6割がオフィス面積の拡大を予定しており、新規賃借理由として企業ステイタスの向上とした回答した企業が前年より増加している。
6 2017年に竣工した大規模ビルには、大手町パークビルディング、GINZA SIX、渋谷キャスト、日比谷パークフロント、赤坂インターシティAIR、神宮前タワービルディング、目黒セントラルスクエアなどがあった。
(2018年02月08日「不動産投資レポート」)
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