- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 都市計画 >
- 本当の「自動車」の時代が来る-「automobile」から「autonomous vehicle」へ
本当の「自動車」の時代が来る-「automobile」から「autonomous vehicle」へ

土堤内 昭雄
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
従来の「自動車」も「自動」と名がついているものの、人間の操作なしに自動的に動くものではない。自動車は、英語の「automobile」(自ら動くもの)に由来しており、エンジンやモーターなどを動力源に人力に頼らず動くという意味だろう。最初の自動車は蒸気機関による蒸気式自動車だったが、1886年にカール・ベンツが初めてガソリンエンジンで走る自動車を開発し、その後、T型フォードが大量生産されるようになり、エンジン式自動車は一気に普及した。
今日ではエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド車も増えており、将来的にはモーターで動く電気自動車(EV)が主流になるだろう。近年は自動運転車の開発が急速に進み、本当の意味での「自動車」(autonomous vehicle)が実現しつつある。昨年の東京モーターショーでは、ダイムラー社が中長期の経営ビジョンとして、Connected(つながる)、Autonomous(自律運転)、Shared(共同所有)、Electric(電動化)の4つのキーワードの頭文字とった「CASE(ケース)」を提示している。
CASEの実現には自動車業界の次世代技術が不可欠だ。ダイムラー社が提案するコンセプトカー「スマート」には、ハンドルもアクセルもブレーキもない。クルマは特定の人の所有物でも、移動手段としてのハードウエアでもなく、移動サービスというシステムウエアに進化するのだ。自動車が単にモーターで動く「電動車」から、自律した本当の「自動車」(autonomous vehicle)になる日も近いだろう。それは利便性とともに安全性という点でも画期的なものになる可能性を秘めている。
今年1月、警察庁は2017年の交通事故死者数が3,694人と、統計を取り始めた1948年以降で最少になったと発表した。これまで交通事故死者数が最も多かったのは1970年の1万6,765人で、昨年は約5分の1になった。現在の自動車の保有台数が、当時の約5倍に増えていることを考え合わせると、交通安全環境が劇的に改善されたことがわかる。今後、高齢化がますます進展する中で、自動運転車(autonomous vehicle)の開発・普及が、「交通事故死亡ゼロ」の実現に大きく寄与することを期待したい。
(参考) 研究員の眼『“幸齢ドライバー”支える技術~「安全運転支援システム」の普及を!』(2017年2月7日)
(2018年01月16日「研究員の眼」)
土堤内 昭雄
土堤内 昭雄のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2018/12/20 | 「定年退社」します!-「生涯現役」という人生の「道楽」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/11/28 | 「人生100年時代」の暮らし方-どう過ごす?! 定年後の「10万時間」 | 土堤内 昭雄 | 基礎研レポート |
2018/11/27 | 「平成」の30年を振り返って-次世代へのメッセージは、「レジリエントな社会づくり」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/10/23 | 「幸せ」実感できぬ社会-豊かな時代のあらたな課題 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【本当の「自動車」の時代が来る-「automobile」から「autonomous vehicle」へ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
本当の「自動車」の時代が来る-「automobile」から「autonomous vehicle」へのレポート Topへ