- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- ビットコイン1万6千ドル台に-既存市場を揺るがす恐れも
ビットコイン1万6千ドル台に-既存市場を揺るがす恐れも
基礎研REPORT(冊子版)1月号

櫨(はじ) 浩一
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1―高騰するビットコイン
仮想通貨は本来の目的である送金や支払への利用よりは、将来の値上がりを期待した投機の場として活発に利用されているというのが現状だ。日米欧が続けてきた超金融緩和政策が仮想通貨の価格高騰に拍車を掛けていることは間違いないだろう。米国が緩やかながら利上げを続け、ECB(欧州中央銀行)や英中銀が超金融緩和からの脱却姿勢を強めていけば、どこかで現在のようなバブル的な価格上昇が反転下落する恐れも大きい。
2―分裂・増殖する仮想通貨
ある取引所のWEBには、ビットコインが円や米ドルといった普通の通貨との違いとして、「ビットコインには、発行を司る組織や流通を管理する組織が存在しない」「どこの国も、企業も、ビットコインの発行・流通には関与していない」と書いてある。しかし、ビットコインが分裂を繰り返しているのは、取引量が拡大したことで送金に時間がかかるようになり、その対応方法についてビットコインのシステムを事実上牛耳っている人達の意見がまとまらなかったからだ。一連の分裂騒ぎを見れば分かるように、明らかにシステムの中心にはビットコインの技術的な規格を管理している人達がいる。政府の関与を嫌う人達は、政府や中央銀行が関与していないことを非常に重要視する。しかし、その行方に全く関与できない多くの人たちを考えれば、自分達が全く関与できないところで全てが決まっていくという仕組みが望ましいとは思えない。
3―既存市場を揺るがす恐れも
一つの国の中で複数の通貨が取引に活発に利用されるということはまずない。従来型の通貨の数は200に満たない。千種類を超える仮想通貨の多くはいずれ淘汰されて消えて無くなり、無価値になってしまうはずだ。仮想通貨がもっと活発に支払や送金に利用されるようになって取引量が急速に拡大していくと、より新しい規格で高速で大量の取引ができる仮想通貨に利用がシフトしていく可能性もある。現在最も時価総額の大きなビットコインが、このまま生き残るという保証は無い。
ビットコインなどの仮想通貨を支えているブロックチェーンが革新的で、通貨以外の多くの分野での利用が期待できる有望な技術であることは広く認められている。しかし、国や中央銀行が関与しない仮想通貨がどこまで成長できるのかは未知数だ。中央銀行が生まれた背景などから筆者が懐疑的であるということは以前にも述べたとおりである。
発展にブレーキをかけることは避けるべきだが、仮想通貨の価格急落が既存金融市場を揺るがすという事態には十分な警戒が必要である。
(2018年01月11日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)
櫨(はじ) 浩一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2020/03/06 | 不安の時代ー過剰な貯蓄を回避する保険の意義 | 櫨(はじ) 浩一 | 基礎研マンスリー |
2020/02/27 | MMTを考える | 櫨(はじ) 浩一 | 基礎研レポート |
2020/02/07 | 令和の日本経済はどうなるか-経済予測の限界と意義 | 櫨(はじ) 浩一 | 基礎研マンスリー |
2020/01/31 | 不安の時代~過剰な貯蓄を回避する保険の意義~ | 櫨(はじ) 浩一 | エコノミストの眼 |
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【ビットコイン1万6千ドル台に-既存市場を揺るがす恐れも】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ビットコイン1万6千ドル台に-既存市場を揺るがす恐れものレポート Topへ