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今年のインフルエンザは例年と比べて注意が必要?

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
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1――今年は2009年当時の「新型インフルエンザ」が多い
一方、半年前に南半球でA(H3)型が大流行したことから、今年は日本でもA(H3)型が流行する可能性もある。
2――今年のインフルエンザの特徴
(1)ワクチン製造の遅れ
インフルエンザの型は変化しやすく3、毎年抗原を細かく変えるので、以前の免疫が今後も役立つとは限らない。また、前年に接種したワクチンの効果は5か月程度しか持続しない4ため、毎年、予防接種を受ける必要が出てくる。
メーカーも、他の定期接種のワクチンのように同じワクチンを作り続けていれば良いわけではない。毎年、国の指示に基づいて国立感染症研究所が製造する型を選定し、指定されたワクチンの基となる株からワクチンを製造する。ところが、今年は、A(H3)型で予定していた株の生産効率が低かったため、異なる株で製造しなおすことになった。
その結果、ワクチンの製造が遅れ、10月には厚労省が、13歳以上は1回のみの接種とするよう呼びかけた5。さらに、ワクチンを接種したとしても、A(H3)型については、最適な株で製造していないため、十分な効果が見込めない可能性があると言う6。ただし、現行のワクチンは4種類のウイルスに対応させており、現在もっとも患者の多いAH1pdm09型を含む残り3種類については例年どおりの効果が見込める。
(2)例年より早めの流行
もう1つの特徴として、今シーズンのインフルエンザは、例年と比べると、流行が早めとなる可能性がある7。例年12月頃から流行が始まり、1~3月頃流行のピークを迎える(図表2)。しかし、今年は12月から患者数が増加しており、2014年に並ぶ早さである。
年末年始は、移動が多いほか、初詣など混雑した場所に行く機会も増える。普段は子どもに接触しない高齢者も孫と会うなど、早めに流行するとインフルエンザ罹患リスクがより高まる懸念がある。
3 通常は、インフルエンザウイルスの抗原は小さな変化をしながら流行を繰り返すが、大きな変化をしたとき、多くの人が対応する免疫を持っていないため、大流行を起こす可能性がある。新たに出現したものが「新型インフルエンザ」である。
5 通常は、13歳未満は「2回」、13歳以上は「1回または2回」を推奨している。
6 2017年12月10日 日経メディカルオンライン「今冬はワクチン効果に頼れない」より。
7 2017年12月27日 産経新聞朝刊「インフル拡大、年末年始にご注意 例年より早く患者数増」など。
(2017年12月30日「基礎研レター」)

03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
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