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- 鉱工業生産17年10月-事前予想を大きく下回るが、堅調が続く
2017年11月30日
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1.10月の生産は事前予想を大きく下回る
経済産業省が11月30日に公表した鉱工業指数によると、17年10月の鉱工業生産指数は前月比0.5%(9月:▲1.0%)と2ヵ月ぶりに上昇したが、事前の市場予想(QUICK集計:前月比2.0%、当社予想は同1.7%)を大きく下回る結果となった。出荷指数は▲0.5%と2ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比3.1%と6ヵ月ぶりの上昇となった。

なお、大手自動車メーカーが無資格検査問題で一時的に生産を停止した輸送機械は前月比0.7%の上昇となり、影響は限定的だった。ただし、在庫指数が前月比9.5%の急上昇となっており、国内向け出荷停止の影響が在庫の積み上がりとなって現れた可能性がある。

一方、消費財出荷指数は17年7-9月期の前期比▲2.3%の後、10月は前月比▲0.4%となった。耐久消費財(前月比▲1.1%)、非耐久消費財(前月比▲1.6%)ともに落ち込んだ。すでに公表されている業界統計、商業動態統計など10月の消費関連指標は、台風上陸や長雨の影響で全体的に弱めの結果となったが、天候要因による消費の不調は一時的なものにとどまる可能性が高く、11月以降は持ち直しに向かうことが見込まれる。
17年7-9月期に前期比▲0.5%と7四半期ぶりの減少となったGDP統計の民間消費は、10-12月期には増加に転じる可能性が高い。ただし、実質所得の伸び悩みが続いていることから、力強い回復には程遠い状況が続くだろう。
2.IT関連財の牽引力は弱まる
製造工業生産予測指数は、17年11月が前月比2.8%、12月が同3.5%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(10月)、予測修正率(11月)はそれぞれ▲3.8%、▲0.3%であった。
10月の生産実績(速報)は事前の市場予想を大きく下回ったが、11月、12月の生産計画はいずれも高めの伸びとなっており、生産の上昇基調は維持されていると判断される。
17年10月の生産指数を11,12月の予測指数で先延ばしすると、17年10-12月期は前期比3.6%の高い伸びとなる。生産計画が下方修正される傾向が続いていることを考慮しても、7-9月期の前期比0.4%から増産ペースが大きく加速する可能性が高いだろう。
10月の生産実績(速報)は事前の市場予想を大きく下回ったが、11月、12月の生産計画はいずれも高めの伸びとなっており、生産の上昇基調は維持されていると判断される。
17年10月の生産指数を11,12月の予測指数で先延ばしすると、17年10-12月期は前期比3.6%の高い伸びとなる。生産計画が下方修正される傾向が続いていることを考慮しても、7-9月期の前期比0.4%から増産ペースが大きく加速する可能性が高いだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年11月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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