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中国経済見通し~成長率は18年6.5%、19年6.2%と鈍化するものの心配は御無用!

三尾 幸吉郎
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1.中国経済の概況

中国経済の中身を見ると産業構造の変化が静かに進んでいる。第1次産業の実質成長率は前年比3.7%増と16年通期の同3.3%増を0.4ポイント上回った。但し、数年前まで4%台だった成長率は3%台へ低下しており緩やかな減速傾向にある。第2次産業は同6.3%増と16年通期の同6.1%増を0.2ポイント上回った。10年の同12.7%増をピークに6年連続で前年の伸びを下回るなどここもと景気減速の主因だったが、17年に入り持ち直してきた。また、第3次産業は同7.8%増と16年通期と同じ伸び率に留まったが、5年連続で第2次産業を上回ることになりそうで、中国経済の牽引役は第3次産業へと移行しつつある(図表-2)。
また、需要構造の変化も進んでいる。総資本形成(主に投資)は2.3ポイントのプラス寄与と16年通期の2.8ポイントを下回り、09年の8.1ポイントをピークに低下傾向が続いている。一方、最終消費は4.5ポイントのプラス寄与と16年通期の4.3ポイントを上回り、中国経済の安定的な成長に寄与している。また、純輸出は0.2ポイントのプラス寄与と16年通期の▲0.5ポイントからプラスに転じ、中国経済の持ち直しに寄与した(図表-3)。
2.消費の動向

3.投資の動向

なお、新興産業の投資が期待どおりに伸びず景気が失速しそうになれば、官民連携(PPP)のプロジェクトを推進して、失速を回避するだろう。中国では、大気汚染対策、水質汚染対策、土壌汚染対策、ごみ処理能力増強など環境関連や、中国共産党・政府が2014年3月に発表した「新型都市化計画(2014~2020年)1」に伴う交通物流関連の需要が大きいため、新興産業の投資が鈍化した場合には、17.8兆元(約300兆円)とされるPPPの着工を急ぐことが可能である(図表-7)。
1 新型都市化が生み出す投資需要は巨大で2020年までの累計で42兆元に達すると試算されている(中国財政部)。スケジュールとしては2017年までが試行地域における先行実施期間となり、その成果を踏まえて2018-20年には全国展開される予定。なおこれに関連して、2016年5月11日には投資総額4.7兆元に及ぶ交通インフラ整備3ヵ年計画(2016-18年)が発表された。
(2017年11月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
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