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- 太りゆく男性とやせゆく女性-データで見る消費者の健康・美容志向の背景
2017年11月13日
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■要旨
■目次
1――消費者の健康・美容志向の高まり
2――太りゆく男性とやせゆく女性、「美魔女」「美容男子」の存在も
3――若者では「料理男子」が増加、結婚にもつながりやすい?
4――摂取カロリーは減っても脂質の多い食事に
5――若者と中年男性の「アルコール離れ」、高齢男性と中高年女性では増加
6――おわりに~セグメントによって異なる健康・美容志向の背景、消費者の困りごとは
新たな消費機会に
- 本稿では、消費者全体で健康志向や美容志向が高まる中で、改めて統計データを用いて、日本人の健康や栄養、運動習慣の変化を確認する。
- まず、BMIの推移を見ると、男性では全年代で「肥満」が増え、「やせ」がおおむね減る一方、女性では全体的に「肥満」が減り、「やせ」が増えている。つまり、男性は太りゆく一方、女性はやせゆく様子が読み取れる。また、中高年女性では「肥満」が減り「やせ」が増えているため、スタイル維持に励む「美魔女」の存在が、男性では20歳代のみ「やせ」が増えているため、「美容男子」の存在が窺える。
- 若年単身世帯の食費の変化より、今の若い男性では外食を減らし自炊に励む「料理男子」が増えているようだ。節約志向のほか、健康・美容志向が高まっているのだろう。なお、調査によると、未婚女性は結婚相手に求める条件で「家事・育児の能力」を重視する。今後、働く女性が増える中、「料理男子」は結婚につながる可能性も高そうだ。
- 摂取カロリーについて見ると、国民全体的に減っているが、食生活の洋風化の影響か、脂肪エネルギー比率が増えている。摂取カロリーの減少は30歳代以上の女性、脂肪エネルギー比率の上昇は40歳代以上で目立つ。中高年男性で「肥満」が増えた原因には脂肪分の多い食事内容がありそうだ。
- 飲酒習慣率は、男性は20~50歳代で低下、60歳代以上で上昇、女性は20~30歳代で低下し、40歳代以上で上昇している。中年男性では飲酒は減っているが肥満は増えており、やはり食習慣に問題がありそうだ。一方、中高年女性では飲酒は増えているが、男性と比べるとはるかに少ないため、肥満の増加にはつながっていない。
- 消費者全体で健康・美容志向が高まっているが、中高年男性では肥満の改善、中高年女性はアンチエイジング、若い男性では美意識など、それぞれ背景は異なる。消費者の困りごとには新たな商機が隠れている。ライフスタイルが多様化する中で、それぞれの状況を1つ1つ解きほぐしていくことで、新たな消費機会が生まれる。
■目次
1――消費者の健康・美容志向の高まり
2――太りゆく男性とやせゆく女性、「美魔女」「美容男子」の存在も
3――若者では「料理男子」が増加、結婚にもつながりやすい?
4――摂取カロリーは減っても脂質の多い食事に
5――若者と中年男性の「アルコール離れ」、高齢男性と中高年女性では増加
6――おわりに~セグメントによって異なる健康・美容志向の背景、消費者の困りごとは
新たな消費機会に
(2017年11月13日「基礎研レター」)

03-3512-1878
経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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