- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- ジェロントロジー(高齢社会総合研究) >
- 高齢者のQOL(生活の質) >
- 「敬老の日」に想う-「人生100年時代」生き抜くのは、大変だ!
コラム
2017年09月26日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
毎年、総務省統計局が「敬老の日」を迎えるに当たって『統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)』という資料を公表している。今年のトピックには『総人口が21万人減少する一方、高齢者は57万人増加』『総人口に占める高齢者人口の割合は27.7%と過去最高、かつ世界で最高』『90歳以上人口が初めて200万人を超える』などが挙げられていた。平成29年9月15日現在の男女別の高齢者数は、男性1,525万人、女性1,988万人と女性が463万人多く、高齢化率は男性24.7%、女性30.6%だ。
また、厚生労働省の報道資料によると、平成29年9月15日時点の百歳以上の高齢者は67,824人で、男性8,197人、女性59,627人と女性が87.9%を占める。今年度中に百歳に到達する(見込みを含む)人は32,097人、東京都が2,720人と最多だ。『百歳高齢者表彰』が始まった昭和38年の百歳以上の高齢者はわずか153人だが、昭和56年に千人を、平成10年に1万人を、平成24年に5万人を超え、わが国は急速に超長寿社会へと突き進んでいる。
このような長寿時代を迎え、政府は先日、人生100年時代を見据えた『人づくり革命』を検討する『人生100年時代構想会議』を立ち上げた。ここでは長くなった高齢期の対応にとどまらず、長寿化した人生を全うするための教育、雇用、社会保障などのあり方について議論するという。年金財源が制限される中、今後一層長く働き続けることが不可欠だが、長くなる職業生活には新たな職業スキルが必要となり、人生という階段の“踊り場”で学び直すリカレント教育の重要性が高まるだろう。
前述の総務省資料では、平成28年の高齢者の就業者は770万人と過去最多で、13年間連続で増加している。高齢者の就業率は男性30.9%、女性15.8%、対前年比で5年連続上昇しており、主要国の中でも最も高い。また、平成28年の高齢者世帯の1世帯当たりの貯蓄現在高は2,394万円で、近年は「定期性預貯金」が減少し「通貨性預貯金」が増加、全体としては減少傾向にある。長寿化により延びる高齢期の生活のために、高齢期も働いたり貯蓄を取り崩したりする高齢者の姿が思い浮かぶ。
日本人の平均寿命は男性も女性も世界トップレベルだ。やがて人生100年時代が訪れることも夢ではない。しかし、超長寿時代を生き抜くための社会構想は課題が山積だ。医学的に100年生きられるとしても、社会経済的に支える仕組みがなければ幸せには生きられない。今日100歳を迎えることができたお年寄りは多くの子どもや孫に恵まれた方も多いが、今後の長寿時代は単身世帯が増大する。拡がる単身社会で「人生100年時代」を生き抜くことは、今以上に大変なことになるかもしれない。
(参考)研究員の眼『男性高齢者の「七五三」~「超高齢社会」生き抜く小さなヒント』(2016年9月27日)
また、厚生労働省の報道資料によると、平成29年9月15日時点の百歳以上の高齢者は67,824人で、男性8,197人、女性59,627人と女性が87.9%を占める。今年度中に百歳に到達する(見込みを含む)人は32,097人、東京都が2,720人と最多だ。『百歳高齢者表彰』が始まった昭和38年の百歳以上の高齢者はわずか153人だが、昭和56年に千人を、平成10年に1万人を、平成24年に5万人を超え、わが国は急速に超長寿社会へと突き進んでいる。
このような長寿時代を迎え、政府は先日、人生100年時代を見据えた『人づくり革命』を検討する『人生100年時代構想会議』を立ち上げた。ここでは長くなった高齢期の対応にとどまらず、長寿化した人生を全うするための教育、雇用、社会保障などのあり方について議論するという。年金財源が制限される中、今後一層長く働き続けることが不可欠だが、長くなる職業生活には新たな職業スキルが必要となり、人生という階段の“踊り場”で学び直すリカレント教育の重要性が高まるだろう。
前述の総務省資料では、平成28年の高齢者の就業者は770万人と過去最多で、13年間連続で増加している。高齢者の就業率は男性30.9%、女性15.8%、対前年比で5年連続上昇しており、主要国の中でも最も高い。また、平成28年の高齢者世帯の1世帯当たりの貯蓄現在高は2,394万円で、近年は「定期性預貯金」が減少し「通貨性預貯金」が増加、全体としては減少傾向にある。長寿化により延びる高齢期の生活のために、高齢期も働いたり貯蓄を取り崩したりする高齢者の姿が思い浮かぶ。
日本人の平均寿命は男性も女性も世界トップレベルだ。やがて人生100年時代が訪れることも夢ではない。しかし、超長寿時代を生き抜くための社会構想は課題が山積だ。医学的に100年生きられるとしても、社会経済的に支える仕組みがなければ幸せには生きられない。今日100歳を迎えることができたお年寄りは多くの子どもや孫に恵まれた方も多いが、今後の長寿時代は単身世帯が増大する。拡がる単身社会で「人生100年時代」を生き抜くことは、今以上に大変なことになるかもしれない。
(参考)研究員の眼『男性高齢者の「七五三」~「超高齢社会」生き抜く小さなヒント』(2016年9月27日)
(2017年09月26日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ
土堤内 昭雄
土堤内 昭雄のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2018/12/20 | 「定年退社」します!-「生涯現役」という人生の「道楽」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/11/28 | 「人生100年時代」の暮らし方-どう過ごす?! 定年後の「10万時間」 | 土堤内 昭雄 | 基礎研レポート |
2018/11/27 | 「平成」の30年を振り返って-次世代へのメッセージは、「レジリエントな社会づくり」 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
2018/10/23 | 「幸せ」実感できぬ社会-豊かな時代のあらたな課題 | 土堤内 昭雄 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年03月18日
長期投資の対象、何が良いのか-S&P500、ナスダック100、先進国株式型で良かった -
2025年03月18日
中国で求められる、働きやすく、子育てしやすい社会の整備【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(68) -
2025年03月18日
グリーン車から考える日本の格差-より多くの人が快適さを享受できる社会へ- -
2025年03月18日
気候変動:アクチュアリースキルの活用-「プラネタリー・ソルベンシー」の枠組みに根差したリスク管理とは? -
2025年03月18日
EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【「敬老の日」に想う-「人生100年時代」生き抜くのは、大変だ!】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「敬老の日」に想う-「人生100年時代」生き抜くのは、大変だ!のレポート Topへ