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- 相場の転換点はいつか?~マーケット・カルテ9月号
2017年08月21日
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今後も当面は円高圧力の強い状況が続きそうだ。北朝鮮情勢はこのまま沈静化するとは見込まれず、たびたび緊迫化するだろう。また、米国は9月末頃に債務上限と来年度予算成立の期限を控えるが、政治が混迷を深める中で時間切れへの警戒感がドル売り圧力になる。FRBは9月に資産縮小を決定するとみられるが、市場ではほぼ織り込み済みであり、影響は限られるだろう。ただし、その後10月には市場が転換点を迎え、円安ドル高の再開が予想される。米経済が堅調に推移し、12月利上げ観測が高まることでドル高圧力が強まるだろう。また、欧州やカナダなどでの金融政策正常化に向けた動きが、日本の金融政策の周回遅れ感を際立たせることも円安をサポートする。3ヵ月後の水準は114円前後と見込んでいる。
ユーロ円も、8月に入って下落し、足元は128円台半ばにある。リスク回避的な円買いに加え、ECB議事要旨でユーロ高への懸念が明らかになったためだ。ただし、秋にはECBによる量的緩和縮小が議論される予定であり、9月以降は日欧金融政策の方向性の違いが意識されることで、ユーロ買いが優勢になりそうだ。3ヵ月後の水準は132円前後と予想している。
長期金利は、8月に入ってリスク回避的な債券買いで低下し、足元は0.04%付近にある。今後もしばらく低下圧力の強い状況が続くものの、日銀によるオペ減額への警戒から低下余地は限定的。10月以降は、12月利上げ観測に伴う米金利上昇を受けて、上昇圧力が波及する可能性が高い。3ヵ月後は0.1%をやや下回る水準を予想している。
(執筆時点:2017/8/21)
(2017年08月21日「基礎研マンスリー」)
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経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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