- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 社会保障制度 >
- 医療保険制度 >
- 医療機器の生産・出荷と輸出入-医療機器の輸入超過は、どの程度進んでいるか?
医療機器の生産・出荷と輸出入-医療機器の輸入超過は、どの程度進んでいるか?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
一方、2005年に首位であった、画像診断システムは、700億円以上減少している。特に、医用X線CT装置や、超音波画像診断装置が減少している。近年、東南アジアなどの新興国の医療機器市場の拡大に合わせて、韓国や中国の画像診断機器メーカーが製造・販売を強化しており、市場競争が激化しつつあるものと考えられる。
また、処置用機器は増加が大きく、生体機能補助・代行機器に迫る金額となっている。処置用機器では、減菌済み血管用チューブ及びカテーテルをはじめ、注射器具及び穿刺器具、結紮(けっさつ)・縫合用器械器具などの輸入が増加した。
一方、眼科用品及び関連製品のうち、コンタクトレンズの輸入も進んだ。特に、アイルランドからの輸入が伸びている。これは、法人税率の低い同国6に、世界大手のコンタクトレンズメーカーが製造拠点を設立しており7、日本などの海外に輸出していることが、その要因と考えられる。
2015年の主な輸入内容を輸入先ごとに見ると、上位は、次の表のようになる。アメリカからの輸入が、非常に大きい。主な内容は、処置用機器、生体機能補助・代行機器、画像診断システム、治療用又は手術用機器となっている。また、アイルランドからの、眼科用品及び関連製品の輸入額も大きい。
6 2015年の法人実効税率(法人所得に課される法人税や住民税、事業税の表面税率をもとに算出) は、日本 32.11%、アメリカ 39.00%、ドイツ30.18%、フランス38.00%、イギリス20.00%に対し、アイルランド 12.50%であった。(“OECD. Stat” (OECD)のCombined corporate income tax rateより)
7 ジョンソン・エンド・ジョンソン社や、ボシュロム社が、アイルランドに製造拠点を設けている。
ただし、単純に、輸出超過は良し、輸入超過は問題あり、とする見方は、各国の医療ニーズの違いや、機器生産の得意分野を踏まえておらず、一面的な捉え方に過ぎない。むしろ、輸出入の超過状況は、生産の得意分野や、海外依存分野のあり方を考察する際の、検討素材と位置づけるべきであろう8。
8 その際、低税率を梃子に、海外メーカーを呼び込んで、生産・輸出増を図る国がある点に、注意が必要であろう。
5――おわりに (私見)
9 患者の生体情報、医療機器のデータや術中画像、手術器具の位置情報などを集約し、手術の進行を統合的に把握するとともに、執刀する医師をナビゲートしたり、機器の稼働状況を監視したりすることで、手術の精度・安全性を高める手術施設。
(2017年08月15日「基礎研レター」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
篠原 拓也のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/28 | リスクアバースの原因-やり直しがきかないとリスクはとれない | 篠原 拓也 | 研究員の眼 |
2025/04/22 | 審査の差の定量化-審査のブレはどれくらい? | 篠原 拓也 | 研究員の眼 |
2025/04/15 | 患者数:入院は減少、外来は増加-2023年の「患者調査」にコロナ禍の影響はどうあらわれたか? | 篠原 拓也 | 基礎研レター |
2025/04/08 | センチネル効果の活用-監視されていると行動が改善する? | 篠原 拓也 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【医療機器の生産・出荷と輸出入-医療機器の輸入超過は、どの程度進んでいるか?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
医療機器の生産・出荷と輸出入-医療機器の輸入超過は、どの程度進んでいるか?のレポート Topへ