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- 中国経済見通し~景気の好調は今後も続くのか?
2017年05月25日
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■要旨
- 中国では経済成長率が加速してきた。4月17日に中国国家統計局が公表した17年1-3月期の実質成長率は前年同期比6.9%増と2四半期連続で上昇、3月開催の全国人民代表大会(国会に相当)で決めた成長率目標「6.5%前後」を上回る好スタートとなった。一方、インフレ面を見ると、消費者物価は落ち着いているものの、工業生産者出荷価格は大きく上昇した。
- 需要面の動きを見ると、個人消費は、雇用情勢の安定や中間所得層の着実な増加を背景に堅調なものの、小型車減税の縮小や住宅規制の強化などマイナス要因もあるため、伸びは2016年よりも小幅に鈍化すると予想。投資は、企業利益の底打ち、中国製造2025関連領域に対する中国政府の手厚い政策支援、新型都市化・環境対応に伴うインフラ需要があるため堅調なものの、住宅規制の強化や過剰債務のデレバレッジ(債務圧縮)などマイナス要因もあるため、前年並みの伸びに留まる。輸出は、世界経済の持続的回復などがプラス要因となるものの、製造拠点を後発新興国へ移転する動きが盛んなため、1桁台前半の伸びに留まると予想する。
- 一方、金融政策は「穏健」から「穏健・中立」へ引き締め方向に変更された。金融緩和を背景に景気は好調なものの、副作用で住宅バブルは深刻化した。中国政府は16年秋に住宅バブル退治に乗り出し、オペ金利を17年1月下旬以降は2度に渡り引き上げた。そして、ここもと景気指標の一部には陰りが見え始めたが、住宅バブルの膨張に歯止めは掛かっていない。
- 経済見通しとしては、2017年の実質成長率は前年比6.6%増、2018年は同6.4%増と、6.5%前後の経済成長に留まると予想、消費者物価は前年比1.6%上昇と予想する。なお、リスクは“住宅バブル ”にある。住宅バブルが崩壊すれば金融システムは不安定化する恐れがある。
(2017年05月25日「Weekly エコノミスト・レター」)
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三尾 幸吉郎
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