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メキシコ関連ファンドが好調~2017年3月の投信動向~
金融研究部 准主任研究員 前山 裕亮
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海外資産を中心に資金が流入
その一方で、国内株式と外国REITについては資金の流出が続いていたが、2月と比べてその金額は小さかった。国内株式については、パッシブ・ファンドに限ると2016年6月以来、9カ月ぶりに資金流入していた。国内株式に対して、悲観的な見方をする投資家が減ってきているのかもしれない。外国REITについては、主要な投資先である米国で影響が懸念されていた金利上昇が3月中に一服した。そのことが投資家の警戒感を和らげた可能性がある。
毎月分配型への根強い人気
また、2月に大人気だった「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」のBコース(為替ヘッジなし)は、3月も資金流入が大きかった。4位もAI(人工知能)などのテクノロジー系の企業に投資するテーマ型の「ロボット・テクノロジー関連株ファンド」となっており、AI関連ファンドの人気が引き続き高かった。なお、2月に「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略」と同様に大人気だった「野村グローバルAI関連株式ファンド」は、新規申し込みが一時停止された影響もあり、3月の資金流入は小さかった。
5位の「ひふみプラス」は、主に国内株式に投資しているファンドである。運用を行っているレオス・キャピタルワークスの社長兼CIO(最高投資責任者)が2月にテレビ番組に出演したことをきっかけに、新規申し込みが殺到した。
メキシコ関連ファンドのパフォーマンスが良好
メキシコ関連ファンドについては、メキシコ・ペソがこの1カ月で5.5円から5.9円と6%ほど上昇したところが大きい。3月の上位ファンドの収益率が7~11%であったことを踏まえると、メキシコ関連ファンドの高パフォーマンスの大部分がメキシコ・ペソ高で説明できることが分かる。
メキシコ・ペソは2016年5月以降、1メキシコ・ペソ5円から6円の間で乱高下していた【図表4:線グラフ】。原油安やメキシコ国内経済の停滞、米国の利上げなどから下落基調にあったところに、米大統領選挙や米トランプ政権の対メキシコ政策への不透明感が加わったためである。2017年1月以降はメキシコ銀行(中央銀行)が通貨防衛姿勢を強めたことなどからペソ高に転じ、足元では前年11月の米大統領選挙前を上回る水準まで対円で上昇した。メキシコ債券ファンドの資金フローに眼をやると、その期間一貫して資金流入傾向にあった【図表4:棒グラフ】。大きくメキシコ・ペソが変動する中でも、メキシコ債券を購入していた投資家が少なからずいたようだ。
なお、新興国通貨は高利回りが期待できる一方で、メキシコ・ペソで見てきたように大きく変動することがある。そのため、地域分散をしていない新興国の単一地域の場合、債券であったとしても先進国株式並み、もしくはそれ以上に価格変動することも考えられる。3月はメキシコへ集中投資しているファンドが高パフォーマンスを上げていたが、それはメキシコのカントリー・リスクを取って投資をした成果といえる。単一地域、特に単一新興国へ集中投資しているファンドは、高利回りや高成長性など良い面ばかり注目される傾向がある。しかし投資を検討する際には、株や債券といった資産特性のリスクだけでなく、裏側に隠れている地域固有のリスクも十分に留意する必要もあるだろう。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
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(2017年04月07日「研究員の眼」)
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