コラム
2017年04月03日

エレベーターの交通計算(待ち時間と輸送能力)-マンションのエレベーターは何台あれば適正なのか-

保険研究部 研究理事   中村 亮一

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はじめに

マンションを購入する際に、エレベーターの設置台数が気になったことはないだろうか。特に、一定階数以上の住戸の購入を検討する場合、朝の出勤時等にどの程度の時間、エレベーターを待たなければいけないのか、は結構重要なことである。

今回の研究員の眼では、マンションの住戸数等と適正なエレベーターの台数の関係について、調べてみた。ただし、以下の意見に関する部分は、あくまでも素人である私個人の感想に基づくものなので、その点はご了承いただきたい。

エレベーターの適正な台数とは

マンションのエレベーターの適正台数については、マンションの販売会社等によると、住戸100戸当たり1台と言われているようである。

一方で、マンション評論家の碓井民朗氏によると「マンションのエレベーターの適正台数は、住戸50戸当たり1台とされ、小数点以下は三捨四入される。」ということである。これによると、例えば、以下の通りとなる。

 住戸数が70戸未満   ─ エレベーター1台 70戸以上120戸未満 ─ エレベーター2台
 120戸以上170戸未満  ─ エレベーター3台

このように、実際のところ、どのような基準でエレベーターの適正台数を判断したらよいのかについては、素人の我々にはなかなか判断が難しい、というのが正直なところである。

マンションの良し悪しを決める決定要因としては、よく「立地」だと言われて、マンションの販売用パンフレットには、「駅から徒歩3分」等といった点が宣伝されている。実は、一定階数以上の住戸の場合、マンションに入ってから各住戸の玄関に到着するまでに、エレベーターを利用することになるため、エレベーターの待ち時間等も大きな要素になる。特に、超高層マンションの場合はそうである。ただし、この点は、マンション購入を検討する場合に、案外見過ごされているようにも見受けられる。

待ち時間等の短縮という観点だけから考えれば、エレベーターの設置台数は、多ければ多いほどよいということになるが、一方で台数が多くなると、設置費用や維持費用がかかることになる。これらのバランスを図りつつ、適正な台数が決定されていくことになる。

エレベーターの適正な台数を決める要因

そもそも、マンションのエレベーターの適正台数、あるいはその前提となる「待ち時間」等を決める要因には、いくつかのファクターがあり、一概にこうと決められるものでもない。具体的には、

・何階建てのマンションなのか、 ・1つの階当たり、何住戸あるのか
・各住戸の世帯人員はどの程度か(単身者、DINKS、ファミリー等)
・低層階、中層階、高層階、それぞれの階層向けに、エレベーターを使い分けるのか
・エレベーターの定員(9人乗り、13人乗り等)、速度(分速90m、120m、180m等)等の仕様

エレベーターの交通計算

エレベーターの適正な台数を決めるための基礎データの算出については、エレベーター各社が「エレベーターの交通計算」システムを提供している。

この際の重要概念としては、「平均運転間隔」と「5分間輸送能力」があるようである。

「平均運転間隔」とは、「1階からエレベーターが出発する時間間隔の平均値」を示している。この時間の2分の1が「平均待ち時間」の目安ということになる。1つの考え方として、「平均運転間隔は60秒以内が望ましい」とされているようである。

「5分間輸送能力」は、「エレベーターをフル回転させたときに、5分間で輸送できる乗客の(全住民に対する)割合」を示している。これは、朝夕の通勤・通学時間帯等のラッシュ時に、住民が1階までおりてくるのにどの程度の時間がかかるのかを知る目安になる。「5分間輸送能力は5%以上が望ましい」とされているようである。

具体的には、「5分間輸送能力が5%、ラッシュ時に住民の30%が一斉にエレベーターを利用する形になると、全員が1階に降りてくるまでに30分かかることになる。実際には、通勤・通学時間帯は住民毎に若干ずれているので、5分間ずつ均等にずれていれば、各人は5分で1階におりてこられることになるる。

個人の住戸までの「平均所要時間」は、「平均待ち時間」に「(エレベーターへの)平均乗車時間」が加算されて計算される。「平均乗車時間」については、自分しか乗車していないのであれば、分速120mのエレベーターであれば、例えば20階(60m)の場合、30秒程度ということになる。ただし、特に、全ての階に停止するエレベーターであれば、高層階の住民は低層・中層階での停止を考慮しなければならなくなり、その平均停止階数等も反映された所要時間となってくる。

なお、ここまでは、あくまでも通常の利用時のことを想定している。地震・火災等の非常時には、エレベーターの利用が停止されたりすることから、階段を利用せざるをえない状況を考慮しておく必要がある。

いずれにしても、どのような考え方でエレベーターの交通計算を行っているのかは、大変興味深いところである。これについてはいくつかの考え方があるようだが、ここではそこには立ち入らず、エレベーター会社が提供している結果だけを使用することとする。
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