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- 仙台オフィス市場の現況と見通し(2017年)
2017年02月20日
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1. はじめに
仙台では2016年の一年間にオフィス市況は大きく改善した。過去数年間、他の主要都市で市況改善が進む中で、仙台市では人口の転入超過数の縮小に応じたオフィス需要増加面積の縮小もあり、空室率はほぼ横ばいで推移していたが、複数のIT系企業の進出などが、そうした膠着状況からの転換を促した。本稿では、仙台オフィス市況の現況把握とともに2023年までの将来予測を行う1。
1 2016年の市況見通し結果は竹内一雅「仙台オフィス市場の現況と見通し(2016年)」不動産投資レポート2016.2.23ニッセイ基礎研究所を参照のこと。
1 2016年の市況見通し結果は竹内一雅「仙台オフィス市場の現況と見通し(2016年)」不動産投資レポート2016.2.23ニッセイ基礎研究所を参照のこと。
2. 仙台のオフィス空室率・賃料動向
仙台のオフィス市況は東日本大震災直後に大きく改善したが、その後は他の主要都市で市況改善が進む中で、2014年~2015年にかけて仙台市の空室率はほぼ横ばいで推移した。しかし2016年に入ると仙台市でも空室率は低下し始め、三幸エステートによると、2016年3月に10.30%だった空室率は、2017年2月には8.26%に改善した(図表-1)。
成約賃料(オフィスレント・インデックス)は、2010年下期を底に上昇傾向にあるが、他の都市と比べると上昇の勢いは強くない(図表-2)。ただし、現在、空室率の低下を背景に、賃料の上昇傾向が強まっており、特に大規模ビル(基準階面積200坪以上のビル)では上昇が顕著である。2010年下期の底値から全体では+22.7%の上昇だが、大規模ビルは+36.1%の上昇となっている2。
成約賃料(オフィスレント・インデックス)は、2010年下期を底に上昇傾向にあるが、他の都市と比べると上昇の勢いは強くない(図表-2)。ただし、現在、空室率の低下を背景に、賃料の上昇傾向が強まっており、特に大規模ビル(基準階面積200坪以上のビル)では上昇が顕著である。2010年下期の底値から全体では+22.7%の上昇だが、大規模ビルは+36.1%の上昇となっている2。
2 オフィスレント・インデックスの大規模ビル指数より。
3 三鬼商事の定義による。仙台の主要5地区(駅前地区、一番町周辺地区、県庁・市役所周辺地区、駅東地区、周辺オフィス地区)からなる。
3. 仙台のオフィス需給と地区別動向
仙台では新規のオフィスビルの供給は、2007年~2010年に大量供給があったが、その後の新規供給は非常に限定されている(図表-6)。新築ビルの竣工が少ないことから、過去6年間、仙台ビジネス地区での賃貸需要の増加分のほとんどは既存ビルが吸収している(図表-6)。
仙台ビジネス地区内では、オフィスビルの賃貸可能面積の35%が駅前地区に、32%が一番町周辺地区に集中している(図表-9)。2016年に賃貸面積は5千6百坪増加したが、このうち、駅東地区が+2千6百坪でもっとも多く、次いで駅前地区2千百坪、一番町周辺地区+1千7百坪、県庁・市役所周辺地区+6百坪と続き、周辺オフィス地区では▲1千4百坪の減少だった。
仙台ビジネス地区内では、オフィスビルの賃貸可能面積の35%が駅前地区に、32%が一番町周辺地区に集中している(図表-9)。2016年に賃貸面積は5千6百坪増加したが、このうち、駅東地区が+2千6百坪でもっとも多く、次いで駅前地区2千百坪、一番町周辺地区+1千7百坪、県庁・市役所周辺地区+6百坪と続き、周辺オフィス地区では▲1千4百坪の減少だった。
4 日本経済新聞社「仙台にIT企業続々-16年度、日本IBMなど7社進出」(2017.1.12)より。そのほか、河北新報「日本IBM、仙台にサービス拠点 5年で100億円投資、地元雇用に力」(2016.6.16)、河北新報「IT技術者確保 仙台で ベンチャー進出拡大」(2016.5.10)、河北新報「全国から進出 ITベンチャー企業 仙台顧客支援拠点に」(2016.10.22)、日経産業新聞「IT企業が仙台に集積、大学教育や市助成が充実」(2017.1.13)など。
(2017年02月20日「不動産投資レポート」)
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