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「男性の育児休業」で変わる意識と働き方-100%取得推進の事例企業での調査を通じて
松浦 民恵
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担当業務に関する育児休業期間中の対応については、「休業期間の前後に業務を振り分けた(業務の前倒し、後ろ倒し)」(61.3%)、「上司、同僚、部下等に業務の一部を引き継いだ」(55.4%)、「不明な点や急ぎの確認事項については、育児休業中でも連絡してもらうように、上司、同僚、部下に依頼した」(49.8%)が上位3位となっている(図表6)。
取得期間が短い中で、業務の前倒し・後ろ倒しや育児休業中でも連絡してもらう等、職場への影響がなるべく及ばない範囲での、自分自身による対応にとどめられている面が大きい。
ただし、過半数が業務の一部を引き継いでいることに加えて、「自分しか把握していなかった情報等を上司、同僚、部下等と共有した」という回答も42.9%みられており、情報の共有化という面で、休業取得が職場での働き方にプラスの影響を及ぼしている点は注目される。
前述のとおり休業取得を通じて家族関係に気づきや変化があったことが、個人的事情への配慮や、早く帰宅したい(早く帰宅させたい)という意識につながったのかもしれない。また、限られた期間ではあるものの休業のために担当業務を見直したことも、業務効率の改善にプラスになったと考えられる。さらに、育児経験や育児能力の向上が、「部下や後輩の育成の仕方についてより深く考える」契機となった可能性もある。
育児は多様なライフスタイルの一つであり、誰もが育児休業の取得を経験できるわけではない。当然のことながら、このような変化をもたらす有効な経験は、育児休業取得の他にもさまざま存在する。ただ、育児休業取得経験も、結果として、働き方やマネジメントに好影響を与える経験の一つになっているとはいえそうである。
顧客対応を伴い、業績の数値目標が設定されている「営業部」で「取得しやすい計」が低くなっていることは、働き方が育児休業取得の阻害要因となっているという既存研究と整合的な結果である。また、休業取得に対して上司、同僚、部下の反応が好意的になれない背景にも、その職場での働き方が影響している可能性が高い。
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