- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 雇用・人事管理 >
- 再び注目される副業-人事実務からみた課題と方向性
2016年11月17日
    文字サイズ
- 小
- 中
- 大
                                            ■要旨
副業に注目が集まっているなか、本稿では、副業の現状を概観したうえで、副業に関する過去の議論や課題整理を紹介し、主に人事実務の視座に立って今後の課題と方向性について考えている。
副業が注目されるのは今回が初めてではなく、1990年代後半から2000年代前半にかけても、副業に注目が集まった時期があった。これまでの検討を通じて、人事実務上の課題は既にほぼ整理されており、人事実務上の最大のネックは、複数の勤務先で労働時間の通算・管理だといえよう。企業にとって、個別対応を要する労働時間管理は相当大きな負担であり、副業が複数に及んだり度々変わったり、あるいは副業が増加したりすると、余計に対応が難しくなるだろう。しかしながら、労働時間管理は、割増賃金の算出等のために実務的に必要だというだけではなく、長時間労働による健康状態の悪化等を回避するための重要な手段の一つであり、労働者保護の観点からここを疎かにするわけにはいかない。労働時間管理に関する有効な解決策がない限り、企業による副業の容認・推奨の動きは、ある程度限定的な広がりにとどまると考えられる。
現状において、企業が労働時間管理を始めとする人事実務上のネックを回避しながら副業を容認・推奨するためには、本業に悪影響を及ぼすケース等を列挙した限定的な副業禁止規定を設け、それ以外の副業については関知せず、自己責任に委ねるという選択肢も考えられる。ただ、マイナンバーの導入に伴い、従業員の賃金以外の収入の存在を企業が把握しやすくなるなかで、従業員の副業に関知しないという「緩やかな運用」がどこまで世の中に許容されるかというリスクは残るだろう。
■目次
1――注目される副業
1|副業が注目されている背景
2|副業者の約4割は本業・非正規の女性
2――副業が注目されるのは今回が初めてではない
1|副業に関するこれまでの検討の紹介
2|副業における人事実務上の最大のネックは労働時間管理
3――副業の課題と方向性
1|副業の容認・推奨は「緩やかな運用」が認められないと難しい面も
2|非正社員の副業に対する政策的対応
            副業に注目が集まっているなか、本稿では、副業の現状を概観したうえで、副業に関する過去の議論や課題整理を紹介し、主に人事実務の視座に立って今後の課題と方向性について考えている。
副業が注目されるのは今回が初めてではなく、1990年代後半から2000年代前半にかけても、副業に注目が集まった時期があった。これまでの検討を通じて、人事実務上の課題は既にほぼ整理されており、人事実務上の最大のネックは、複数の勤務先で労働時間の通算・管理だといえよう。企業にとって、個別対応を要する労働時間管理は相当大きな負担であり、副業が複数に及んだり度々変わったり、あるいは副業が増加したりすると、余計に対応が難しくなるだろう。しかしながら、労働時間管理は、割増賃金の算出等のために実務的に必要だというだけではなく、長時間労働による健康状態の悪化等を回避するための重要な手段の一つであり、労働者保護の観点からここを疎かにするわけにはいかない。労働時間管理に関する有効な解決策がない限り、企業による副業の容認・推奨の動きは、ある程度限定的な広がりにとどまると考えられる。
現状において、企業が労働時間管理を始めとする人事実務上のネックを回避しながら副業を容認・推奨するためには、本業に悪影響を及ぼすケース等を列挙した限定的な副業禁止規定を設け、それ以外の副業については関知せず、自己責任に委ねるという選択肢も考えられる。ただ、マイナンバーの導入に伴い、従業員の賃金以外の収入の存在を企業が把握しやすくなるなかで、従業員の副業に関知しないという「緩やかな運用」がどこまで世の中に許容されるかというリスクは残るだろう。
■目次
1――注目される副業
1|副業が注目されている背景
2|副業者の約4割は本業・非正規の女性
2――副業が注目されるのは今回が初めてではない
1|副業に関するこれまでの検討の紹介
2|副業における人事実務上の最大のネックは労働時間管理
3――副業の課題と方向性
1|副業の容認・推奨は「緩やかな運用」が認められないと難しい面も
2|非正社員の副業に対する政策的対応
(2016年11月17日「基礎研レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
松浦 民恵
松浦 民恵のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 | 
|---|---|---|---|
| 2017/04/07 | 「男性の育児休業」で変わる意識と働き方-100%取得推進の事例企業での調査を通じて | 松浦 民恵 | 基礎研マンスリー | 
| 2017/02/20 | 「男性の育児休業」で変わる意識と働き方-100%取得推進の事例企業での調査を通じて | 松浦 民恵 | 基礎研レポート | 
| 2016/12/07 | 「130万円の壁」を巡る誤解-2016年10月からの適用要件拡大の意味を正しく理解する | 松浦 民恵 | 基礎研マンスリー | 
| 2016/11/17 | 再び注目される副業-人事実務からみた課題と方向性 | 松浦 民恵 | 基礎研レポート | 
新着記事
- 
                2025年11月04日 
 今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】
- 
                2025年10月31日 
 交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋
- 
                2025年10月31日 
 ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定
- 
                2025年10月31日 
 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~
- 
                2025年10月31日 
 保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
- 
                        2025年07月01日 News Release 
- 
                        2025年06月06日 News Release 
- 
                        2025年04月02日 News Release 
【再び注目される副業-人事実務からみた課題と方向性】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
再び注目される副業-人事実務からみた課題と方向性のレポート Topへ 
            




 
                     
                    
 経済 のレポート
経済 のレポート 
                                     
                                     
                                     
                                    
 
                                             
                         
                         
                        
 
                                                 
             
                     
					


