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東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2017年)-2017年~2023年のオフィス賃料・空室率

竹内 一雅
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1. はじめに
1 本稿ではAクラスビルとして三幸エステートの定義を用いる。三幸エステートでは、エリア(都心5区主要オフィス地区とその他オフィス集積地域)から延床面積(1万坪以上)、基準階床面積(300坪以上)、築年数(15年以内)および設備などのガイドラインを満たすビルからAクラスビルを選定している。また、基準階床面積が200坪以上でAクラスビル以外のビルなどからガイドラインに従いBクラスビルを、同100坪以上200坪未満のビルからCクラスビルを設定している。詳細は三幸エステート「オフィスレントデータ2017」を参照のこと。なお、オフィスレント・インデックスは月坪当りの共益費を除く成約賃料。
2 2016年に公表した市況見通しは竹内一雅「東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2016年)-2016年~2022年のオフィス賃料・空室率」(2016.2.10)ニッセイ基礎研究所などを参照のこと。
2. 東京都心部Aクラスビルの空室率・賃料の推移
三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発したオフィスレント・インデックスによると、Aクラスビルの賃料はリーマンショック後の底値から+71.4%の上昇となり、ファンドバブル期(2006~2008年頃)のピーク賃料の74.2%まで回復している(図表-4)。リーマンショック後の底値からの上昇率は、Bクラスビルで+46.0%、Cクラスビルで+48.1%である。オフィスレント・インデックスの前年同期比変化率を見ると、上昇率は縮小する傾向にあり、Aクラスビルでは2016年Q2期とQ3期にマイナスになるなど、賃料サイクルは今後の下落リスクの高さを示している。
3 図表-11にみるように、森ビルのオフィスニーズに関する調査では近年、新規賃借理由としての回答比率の低下が続いてきた「賃料の安いビルに移りたい」が2016年に上昇したが、これは2010年以来、初めてのことだった。
3. 東京都心部Aクラスビルの賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積
三鬼商事によると、Aクラスビルだけでなく都心5区全体としても、6年連続でオフィスビルの賃貸面積は増加が続いている(図表-6左図)。需要は一年間の増加が10万坪を超える好調が続いているが、供給の増加から空室面積の減少が縮小している。月次で面積の増加幅を見ると、2014年10月以降は毎月の需要増が小さくなり、新規供給があった時のみ需要が拡大している(図表-6右図)。大規模ビルを中心に、空室の減少からまとまった面積の移転先を確保することが難しくなっていることも、新規需要の拡大や空室面積減少のスピードを低下させる理由になっているようだ5。
4 2016年に竣工した大規模ビルには、JR新宿ミライナタワー、住友不動産新宿ガーデンタワー、大手町フィナンシャルシティグランキューブ、東京ガーデンテラス紀尾井町・紀尾井タワー、住友不動産六本木グランドタワー、京橋エドグランなどがあった。
5 反対にそうした空室不足の状況が、2018年以降の新規供給ビルへの早期内定が進んでいる理由とも考えられる。
(2017年02月08日「不動産投資レポート」)
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