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2017年01月24日
EIOPAによる2016年度保険ストレステストの結果について(1)-EIOPAの報告書の概要報告-
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4―ベースラインの状況
この章では、報告書の第2章の「(ストレス前の貸借対照表に基づく)ベースラインの状況」について報告する。
1|資産負債比率(Assets Over Liabilities ratio:AOL比率)
資産負債比率は、資産を負債で割って得られる比率5である。
国毎の合計レベルでは、103%から174%の範囲にあり、EU/EEA平均では110%となっている。
さらに、全ての参加会社は、ベースラインにおいて、負債を超過する資産を有している。即ち、不利な市場シナリオの影響を受けやすい会社も、ベースラインでは一定のAOL比率を確保している。
これは、市況の変化に比較的敏感である会社が、必ずしも同業者よりも悪い、またはリスクの高いポジションにあるとは限らないことを示している。個々の会社のリスク回避能力は、ストレスに対する資本状況とバランスシートの感応度の組み合わせによって評価される。
5 AOL比率は、(1)負債には適格自己資本に含まれる劣後債務も含まれる、(2)AOL比率はいかなるリスク測定も含んでいない、という点で、SCR(ソルベンシー資本要件)比率とは異なっている。
1|資産負債比率(Assets Over Liabilities ratio:AOL比率)
資産負債比率は、資産を負債で割って得られる比率5である。
国毎の合計レベルでは、103%から174%の範囲にあり、EU/EEA平均では110%となっている。
さらに、全ての参加会社は、ベースラインにおいて、負債を超過する資産を有している。即ち、不利な市場シナリオの影響を受けやすい会社も、ベースラインでは一定のAOL比率を確保している。
これは、市況の変化に比較的敏感である会社が、必ずしも同業者よりも悪い、またはリスクの高いポジションにあるとは限らないことを示している。個々の会社のリスク回避能力は、ストレスに対する資本状況とバランスシートの感応度の組み合わせによって評価される。
5 AOL比率は、(1)負債には適格自己資本に含まれる劣後債務も含まれる、(2)AOL比率はいかなるリスク測定も含んでいない、という点で、SCR(ソルベンシー資本要件)比率とは異なっている。
2|資産
参加会社全体の資産のうち債券が47%で、その中では国債と社債が約半分ずつとなっている。
債券のうちの国債の割合は国によって異なり、ベルギー、クロアチア、ハンガリー、ポーランドでは90%以上となっている。
国債のうち50%はイタリアとフランスの2カ国によるもので、85%は、英国、スペイン、ドイツ、ベルギーを加えた6カ国で発行されたものである。
国債保有には、ホームバイアスが存在している。各国の参加保険会社の国債保有のうち自国発行の割合は、イタリア94%、スペイン90%、英国89%、フランス71%、ベルギー65%となっているが、ドイツは48%となっている。
社債の約60%は、AAA~Aの格付けのものである。
なお、ユニットリンク型契約の資産は18%となっている。
参加会社全体の資産のうち債券が47%で、その中では国債と社債が約半分ずつとなっている。
債券のうちの国債の割合は国によって異なり、ベルギー、クロアチア、ハンガリー、ポーランドでは90%以上となっている。
国債のうち50%はイタリアとフランスの2カ国によるもので、85%は、英国、スペイン、ドイツ、ベルギーを加えた6カ国で発行されたものである。
国債保有には、ホームバイアスが存在している。各国の参加保険会社の国債保有のうち自国発行の割合は、イタリア94%、スペイン90%、英国89%、フランス71%、ベルギー65%となっているが、ドイツは48%となっている。
社債の約60%は、AAA~Aの格付けのものである。
なお、ユニットリンク型契約の資産は18%となっている。
3|負債
負債の90%以上は技術的準備金が占めている。技術的準備金のうち、インデックス、ユニットリンク型契約以外の生命保険契約が75%を占めている。
高い保証利率を有する会社は、長期低利回りシナリオに対して脆弱となる。全体として、保証利率は現在の金利に比べて、相対的に高いままである。サンプル会社の2/3近くが3%を超える平均保証利率であり、1/3が4%を超える平均保証利率となっている。
これらのレガシー保証は、全体として、満期を迎えるまでに10年~15年以上の期間がある契約に関係している。さらに、10%の会社が、保証契約が満期を迎えるまでに24年以上かかるとしている。全ての契約の満期までの平均年数は約12年で、3%を超える保証利率を有する契約は平均して満期を迎えるまでに12年以上かかる。
以下の図表が、「保証利率別の契約シェアと当該契約の満期までの平均年数」を示している。この図表によれば、例えば、保証利率が3%~4%の契約は、31%を占めて、満期までの平均年数は12,2年となっている。
このように、欧州の保険会社もかなり高い保証利率を有する契約を引き続き抱えている実態にある。
負債の90%以上は技術的準備金が占めている。技術的準備金のうち、インデックス、ユニットリンク型契約以外の生命保険契約が75%を占めている。
高い保証利率を有する会社は、長期低利回りシナリオに対して脆弱となる。全体として、保証利率は現在の金利に比べて、相対的に高いままである。サンプル会社の2/3近くが3%を超える平均保証利率であり、1/3が4%を超える平均保証利率となっている。
これらのレガシー保証は、全体として、満期を迎えるまでに10年~15年以上の期間がある契約に関係している。さらに、10%の会社が、保証契約が満期を迎えるまでに24年以上かかるとしている。全ての契約の満期までの平均年数は約12年で、3%を超える保証利率を有する契約は平均して満期を迎えるまでに12年以上かかる。
以下の図表が、「保証利率別の契約シェアと当該契約の満期までの平均年数」を示している。この図表によれば、例えば、保証利率が3%~4%の契約は、31%を占めて、満期までの平均年数は12,2年となっている。
このように、欧州の保険会社もかなり高い保証利率を有する契約を引き続き抱えている実態にある。
4|自己資本
EU/EEA全体のサンプル会社の適格自己資本(eligible own funds )のうち、Tier 1無制限自己資本が90.0%を占めており、自己資本の質は一般的に高いことが示されている。しかし、適格自己資本の構成は会社間で著しく異なっている。国別のTier 1無制限自己資本の比率は、ドイツが95.3%、英国91.8%、イタリア87.0%、オランダ80.4%、フランス79.3%となっている。
Tier 1無制限自己資本は、主として調整準備金(reconciliation reserve)6と剰余金(surplus fund)で構成されており、これら2つで80%以上を占めている。
利用可能自己資本(available own funds)は、規制上の制限や適格基準から、必ずしも適格自己資本と一致していない。サンプル会社のベースラインでは、前者が576,010百万ユーロ、後者が572,847百万ユーロで、殆どの国で両者の差異は無視できる水準となっている。
6 負債を超える資産額から、自己保有株式、予見可能な義務やソルベンシーII委任規制の第70条に従うさらなる項目を控除したもの
EU/EEA全体のサンプル会社の適格自己資本(eligible own funds )のうち、Tier 1無制限自己資本が90.0%を占めており、自己資本の質は一般的に高いことが示されている。しかし、適格自己資本の構成は会社間で著しく異なっている。国別のTier 1無制限自己資本の比率は、ドイツが95.3%、英国91.8%、イタリア87.0%、オランダ80.4%、フランス79.3%となっている。
Tier 1無制限自己資本は、主として調整準備金(reconciliation reserve)6と剰余金(surplus fund)で構成されており、これら2つで80%以上を占めている。
利用可能自己資本(available own funds)は、規制上の制限や適格基準から、必ずしも適格自己資本と一致していない。サンプル会社のベースラインでは、前者が576,010百万ユーロ、後者が572,847百万ユーロで、殆どの国で両者の差異は無視できる水準となっている。
6 負債を超える資産額から、自己保有株式、予見可能な義務やソルベンシーII委任規制の第70条に従うさらなる項目を控除したもの
(2017年01月24日「保険・年金フォーカス」)
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