2017年01月24日

図表でみる中国経済(国際収支編)~資金流出を分析した上で人民元の行方を探る

経済研究部 上席研究員   三尾 幸吉郎

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■要旨

1―下落が続く中国の通貨(人民元)
中国の通貨(人民元)が下落している。2014年1月に付けた最高値からの下落率は約12%に達した。2013年までは貿易など経常取引面で海外から国内へ資金が流入したのに加えて、直接投資や証券投資など金融取引面でも資金が流入していた。しかし、その後は主に金融取引面での資金流出が鮮明となっており、資金の流れは大きく変化している。

2―国際収支統計でみる資金流出の現状
国際収支統計をみると、貿易黒字の鈍化や海外旅行によるサービス赤字の増加で経常黒字の伸びが鈍化している。また、金融取引面では、2014年にはその他投資収支が赤字へ、2015年には証券投資収支が赤字へ、さらに2016年には直接投資収支も赤字へ、それぞれ黒字から赤字へ転換しており、資金流出が鮮明となってきた。国内主体による対外投資の増加や借入金の返済が見られたのに加えて、海外主体による資金回収の動きも見られた。

3―外貨準備は十分にあるのか?
資金流出に伴って市場では外貨が不足、中国人民銀行は外貨準備を取り崩して外貨を供給したため、外貨準備は大幅に減少して約3兆ドルとなった。現在の外貨準備は、「輸入額の3ヵ月分」、「短期対外債務」、「国際通貨基金(IMF)の試算」といった各種の基準に当てはめてみると、「管理変動相場制」の下では必要額を上回っている。但し、資金流出が続いて外貨準備が2兆ドルに近付けば「完全変動相場制」への移行が視野に入るだろう。

4―人民元レートの展望
人民元の下落はしばらく続くとみられる。中国政府による流出防止策だけでは資金流出は止まらない。根本的な原因である“中国の構造改革” と“米中金利差の縮小傾向”が残るからだ。但し、資金流出のマグマは縮小、外貨準備も3兆ドル残るため、急落する可能性は低い。なお、人民元が再び上昇に向かうのは構造改革に目処がついた後になるだろう。
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経済研究部   上席研究員

三尾 幸吉郎 (みお こうきちろう)

研究・専門分野
中国経済

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