2017年01月10日

アートから東京2020とその先を考える~魅力ある世界都市へのプロセスと課題 2/4

【ポスト2020、魅力ある世界都市へ 訪日客数4000万人時代への挑戦】

オリンピック・パラリンピック 都市計画 などの記事に関心のあるあなたへ

btn-mag-b.png
基礎研 Report Head Lineではそんなあなたにおすすめのメルマガ配信中!
各種レポート配信をメールでお知らせするので読み逃しを防ぎます!

ご登録はこちら

twitter Facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 Pocketで後で読む

文字サイズ

2016年10月18日「ポスト2020、魅力ある世界都市へ - 訪日客数4000万人時代への挑戦 -」をテーマにニッセイ基礎研シンポジウムを開催しました。
 
基調講演では明治大学公共政策大学院 ガバナンス研究科 教授の青山 佾氏をお招きして「オリンピック・パラリンピックと都市」をテーマに講演頂きました。
 
基調講演
オリンピック・パラリンピックと都市
 
パネルディスカッションでは「魅力ある世界都市へのプロセスと課題」をテーマに活発な議論を行っていただきました。
 
いま2/4記事目を読んでいます
 
--------------------
 
パネルディスカッション
「魅力ある世界都市へのプロセスと課題」

パネリスト
明治大学公共政策大学院 教授
青山  佾 氏 
 
ウィズダムツリージャパン株式会社
最高経営責任者
イェスパー・コール 氏
 
オラガ総研株式会社 代表取締役社長
牧野 知弘 氏
 
ニッセイ基礎研究所 研究理事
吉本 光宏   
 
コーディネーター
ニッセイ基礎研究所 不動産運用調査室長
加藤 えり子

 
■加藤
ありがとうございました。インバウンドのキーワードをさまざまな視点からビジュアルでお伝えいただきました。それではイェスパー・コール様、お願いいたします。
 

3.Beyond 2020

■コール
よろしくお願いします。コールと申します。私はドイツ人で、実は1985年からずっと日本にいるのですが、残念ながら日本語は難しいです。
 
写真24
もし機会があれば赤ちょうちんに行ってお酒を飲むと、だんだんぺらぺらになるのですが、まだ多分、日本人の特に男性の耳には非常につらい日本語で、大変恐縮です。
 
西洋人あるいは外国人の目から見て、なぜ日本のことが好きか、なぜ観光客は増えたのか。政治的なことやビザなどの規制緩和的なこと、あるいは円安や為替の関係など、いろいろ説明はできるのですが、もっと根本的な理由があります。
 
カナダの有名なSF作家のウィリアム・ギブスンが、「未来を見たいのだったら東京へ行け」と言っています。これは非常に面白い言葉で、東京、いわゆる日本には将来に向けた発信力が非常にあるわけです。
 
今日のテーマは「ポスト2020」なのですが、予測できますか、どうですか。もちろん先生方に、日本人らしくて非常にきれいな都市計画を作っていただいたことは本当に感謝します。外国人の目からどう見ても、東京はすごい、素晴らしい街です。
 
ニューヨークと比べると、あるいは上海と比べると、あるいは中南米にあるメキシコシティと比べると、東京は最高に住みやすいのですが、未来としては2020年の目標にオリンピックがあるから、インフラ投資をもう一度しっかりやっていただければ間違いないと思います。
 

3-1.テクノロジーの進歩

でも、少し思い出していただきたいのです。全世界で今、人間の進歩の大変大きな分岐点が起きているではないですか。
 
これはどういうことかというと、去年、囲碁でコンピューターが勝ったのはご存じのとおりで、人間のエボリューション、いろいろな進歩がありまして、人工知能(AI)やロボットについても、今、抜本的な進歩が進んでいます。今、AIはすごく大きな変化があり、Beyond 2020について考えると、どうしても技術革命を考えないといけないわけです。
 
写真25
「Global Mega Trends」、私はエコノミストなのですが、経済とテクノロジーのどちらが先か、そういう議論は赤ちょうちんで。楽しみにしています。
 
歴史は繰り返しますが、やはり技術革命のスピードアップはあるのではないか。明治維新からIndustrial Revolution(技術革命)がありまして、文化改革あるいは富国強兵のキャッチアップが日本にはありました。そして、戦後には日本のものづくり、社会的にはサラリーマン文化、そして政治的には自民党の長期安定政権があったのですが、これも終わりました。 
 
そして今はIT、インターネットのRevolutionが1995年ごろからスタートし、日本に平成デフレをもたらしたと同時に、人間と仕事の関係を根本的に変えました。安定雇用よりアルバイトの方が増え、政治的にも大きく変わったと思います。
 
そしてこれからどうするかということについては、どうもテクノロジー、特にAIの進歩が大きな影響があります。
 
「Faster(より速くなること)」について考えていただきたいのですが、モバイル通信の速度は現在4Gです。東京五輪が開催される2020年までには5Gになるのですが、そのスピードアップは3万5000倍になってしまうわけです。
 
社会的な影響もあります。5000万人のユーザーになるまで、どのぐらい時間がかかったかを示すグラフを見ると、ラジオは38年間かかりました。テレビは13年間、iPodは4年間、FacebookやTwitterはさらにスピードアップしています。
 
写真26
これによって社会はどうなるか、人間と人間の関係はどうなるか。そして、失礼ですが東京五輪のレガシーはショッピングセンターですか。それはある意味、あり得ないことです。
 
シンギュラリティ、技術的な進歩があると、いつかロボットやAIは本当に人間になるか、あるいは人間はロボットになるか、どちらになるか分からないのですが、このことについて少し考えていただきたいのです。
 

3-2.日本のReality

そしてもう一つは、そういう技術的な進歩は、世界のどこでも起こっているのです。中国にも起こる、韓国にも起こる、ドイツにも起こる、アメリカにも起こる。
 
そのときに差別化できるネタは何でしょうか。日本の一番強いところは何でしょうか。それは私の目から見てリアリティです。
 
写真27
私の目から見て、日本はもちろん技術的に非常に強いのですが、日本の強さはAIというより、感情知能、心の知能だと思います。
 
おもてなしという言葉が最近よく使われているのですが、日本の強みは根本的にはものづくりより五感です。見る、聞く、かぐ、味わう、触る、それとたまに第六感の愛や関心なども入ってくるわけですが、やはりそれが東京の素晴らしいところです。
 
本当に東京は非常に素晴らしくて、五感に対しては何でもあります。よく言われるのですが、東京の高級レストランはパリよりミシュランの星をたくさん持っているのですが、東京の素晴らしいところは、まずい食がほとんどないことです。
 
500円でも安全・安心でおいしいところがあります。だから、Beyond2020について考える場合には、間違いなくAIより感情知能や心の知能について考えていただきたいのです。それが、私の目から見て本当に日本のレガシーです。
 
技術的に競争力があるのは間違いなく日本です。ロボットやAIにおいて、日本は対国民所得比の技術開発費が世界のトップであり、日本企業は技術開発にたくさん投資しています。だから、やはりAIやロボットには競争力が間違いなくあります。
 

3-3.人口減少に対する提案

一方、日本の悪いところは人口減少です。そこで、人口減少について、在日外国人として、一つ提案したいのです。
 
人口減少がある一方で、インバウンドの観光客は最近増えたと、よく説明していただくのですが、考えていただきたいのは、観光客は消費なのです。もしかしたら戻ってくるかもしれませんが、基本的には1回来てくれると終わりです。
 
しかし、留学生あるいは労働力は、消費より投資なのです。ですから、移民の議論をどうしてもすべきなのです。ポスト2020の一つのレガシーとして、間違いなく移民のことが挙げられます。
 
どういうことかというと、私はドイツ人、あなたたちは日本人です。ドイツ人と日本人はどこが同じかというと、やはり職人文化です。きちんと仕事をします。
 
今日からすぐに先生になれるわけではなくて、時間がかかります。きちんと真面目に教えてくれる先輩・後輩の関係があって、ご存じのとおりドイツにはマイスター制があります。高校を卒業して、職人の指導を受けながら仕事をし、週末には学校に行きます。そして3~4年後にはライセンスをきちんと取れるというのがマイスター制の根本です。
 
これは日本の移民政策にどういう関係があるかというと、アジアから労働力が入ってきて、建設業とか、トラックの運転手などに就くときに、きちんとした教育を施す日本型マイスター制が必要だということです。
 
2~3年間、日本の先生、日本の会社で仕事をして、きちんと勉強して、きちんとライセンスを取って自国に戻ったときに、日本からのマイスター制を頂いたところはすごく役に立つことは間違いなくて、インドネシアに戻ってくれば、日本型マイスター制があると銀行がお金を貸してくれることがあるのではないかと思います。
 
だから労働政策、移民政策については、一方通行ではなく、外から入ってきたときにどうするかということなのです。出口については自国に戻るときちんとした日本型マイスター制の免許があれば、間違いなく合理的になるのではないかと思います。
 
私の目から見て、素晴らしい日本において、どうしても外国の労働力を使わないといけないのは事実なのです。伸びている産業は、ほとんどサービス産業です。
 
日本らしいサービス産業は人間と人間のコミュニケーションなのですが、ロボットやAIはおもてなしサービスは絶対にできません。だから日本の教育でそのような構造をつくっていただければ、ポスト2020の本当のレガシーになるのではないかと思います。すみません、ありがとうございます。
 
■加藤
ありがとうございました。日本人がまだ気付いていないような日本の良さというところもご指摘いただいたかと思います。それでは吉本さん、お願いいたします。
 
twitter Facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 Pocketで後で読む

アクセスランキング

レポート紹介

【アートから東京2020とその先を考える~魅力ある世界都市へのプロセスと課題 2/4】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

アートから東京2020とその先を考える~魅力ある世界都市へのプロセスと課題 2/4のレポート Topへ