2016年11月25日

中国経済見通し~デレバレッジ 、住宅バブル崩壊 、トランプ・リスク と不安材料は盛り沢山だが、6.5%前後の経済成長を維持すると予想

経済研究部 上席研究員   三尾 幸吉郎

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4.経済見通し

1|ポイントの整理
今後の中国経済を見通す上で重要と考えられるポイントを整理したのが図表-15である。主なプラス材料としては、(1)中間所得層の増加傾向と雇用関連指標の安定、(2)中国製造2025に関連する領域での積極的な投資、(3)新型都市化・環境対応に伴う巨大インフラ需要、(4)世界経済の持続的回復と輸出先行指標の底打ちが挙げられる。一方、主なマイナス材料としては、(1)製造業の過剰設備・過剰債務の圧縮、(2)バブル退治に伴う住宅販売・着工の減速、(3)急激に伸びたインフラ投資のスピード調整、(4)インフレ率上昇による実質所得の目減り、(5)自動車販売の反動減、(6)トランプノミクスへの移行に伴う貿易黒字の削減が挙げられる。このように、2017年以降の中国経済を考えると、マイナス材料が目立ちしかも影響も大きいと見られるため、2017年の成長率目標は2016年の「6.5~7%」から「6.5%前後」へ引き下げざるを得なくなるだろうと考えている。
(図表-15)今後の中国経済を見通す上での重要ポイント
(図表-16)経済予測表 2|経済見通し
経済見通しとしては、2016年の実質成長率は前年比6.6%増、2017年は同6.4%増、2018年は同6.4%増と、6.5%前後の経済成長が続くと予想する。個人消費は、中間所得層の増加傾向が引き続き追い風となることに加えて、雇用指標にも目立った悪化が見られないことから 、比較的高い伸びを維持すると見ている。但し、賃金上昇率の鈍化に加えて、インフレ率の上昇で実質所得が目減りすることから、最終消費の寄与度は小幅に減少するだろう。一方、投資は、過剰設備を抱える製造業の過剰債務の圧縮、バブル退治に伴う住宅着工の減速、インフラ投資のスピード調整などで減速すると見られるものの、「中国製造2025」に関連する領域では中国政府の支援もあって積極的な投資が期待できることから、小幅な鈍化に留まると予想する。また、消費者物価は原油高や人民元安に伴う輸入物価上昇を受けて緩やかに上昇していくと予想している(図表-16)。
金融市場の動向としては、米国では景気拡大の歩調に合わせてゆっくりと政策金利が引き上げられていくと想定している。一方、中国では第13次5ヵ年計画(2016-20年)で成長率目標を「6.5%以上」と打ち出したこともあり、その達成のためには「穏健な金融政策」を維持せざるを得ないことから、利上げはしばらく見送ると予想している。従って、米中金利差は2017年も縮小する可能性が高く、人民元は弱含みの展開が続くと見ている。その後2018年に入る頃には、原油高や人民元安に伴う輸入物価上昇が徐々に消費者物価にも反映してくるため、中国人民銀行は米国に追随する形で利上げに転じ、人民元の下落に歯止めが掛かると予想している(図表-17)。
(図表-17)金融市場の動向
3|リスクの所在
リスクの所在としては、(1)過剰債務のデレバレッジ加速5、(2)住宅バブルの崩壊6、(3)米トランプ次期大統領の対中強硬策7の3点が挙げられる。現時点では、いずれもメインシナリオには成り得ないと見ているが、今後の成り行き次第では中国経済を揺さぶりかねない深刻な問題でもある。引き続き今後の動向に細心の注意を払いたい。
(図表-18)新築住宅販売価格の推移 なお、住宅バブルに関しては、図表-18に示した微調整ライン(A)を下回らなければ経済への影響は軽微に留まるが、Aを下回るようだとその他の景気指標を精査した上で経済見通しを見直す必要がでてくると考えている。さらに、デッドライン(B)を下回るようだと、住宅バブル崩壊の恐れが浮上することから、過剰債務問題や不良債権問題8と結び付いて金融システム不安に陥らないかを再点検する必要がでてくると考えている。
 
5中国経済:過剰債務問題の本質と展望」ニッセイ基礎研レポート 2016-09-23を参照
6図表でみる中国経済(住宅市場編)~住宅バブルの現状と注目点」ニッセイ基礎研レター 2016-11-1を参照
7トランプノミクスと中国経済~中国は「為替操作国」に認定されて深刻な打撃を受けるのか?」研究員の眼2016-11-18を参照
8図表でみる中国経済(不良債権編)」ニッセイ基礎研レター 2016-07-15を参照
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経済研究部   上席研究員

三尾 幸吉郎 (みお こうきちろう)

研究・専門分野
中国経済

(2016年11月25日「Weekly エコノミスト・レター」)

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