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中期経済見通し(2016~2026年度)

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1.低成長が続く世界経済
2008年秋にリーマン・ショックをきっかけとした世界金融危機が発生してから8年が経過した。世界経済はリーマン・ショック後の2009年にはマイナス成長となったが、各国が財政・金融政策を総動員したことにより比較的早い段階で持ち直し2010年には5%成長まで回復した。しかし、その後は成長率の鈍化傾向が続き、2012年以降は1980年以降の平均成長率3.8%を下回り続けている。
先進国の成長率は積極的な金融緩和の効果もあって低水準ながら緩やかに持ち直しているが、中国の成長率が2010年の10.6%から2015年には6.9%へと大きく鈍化したこと、国際商品市況下落の影響から資源国の景気が急速に悪化したことなどから、新興国の成長率が2010年の7.5%から2015年には4.0%へと大きく低下した。
また、かつては世界の貿易量の伸びが経済成長率を大きく上回ることが一般的だったが、近年は世界貿易の伸び悩みが顕著となっており、貿易量の伸びが世界経済の成長率と同程度か若干下回る形となっている。この背景としては耐久消費財、資本財に対する需要の停滞やGVC(グローバル・バリュー・チェーン)の拡大ペースの鈍化などが挙げられる。
今回の予測ではメインシナリオとしていないが、保護主義の台頭などから世界の貿易量が一段と縮小し、そのことが世界経済のさらなる停滞につながるリスクがあることには注意が必要だろう。
世界経済に占める新興国の割合(ドルベース)は2000年の20%程度から40%近くまで上昇しているが、自国通貨ベースの成長率の減速に加え為替が対ドルで大きく減価したこともありここにきて上昇ペースは大きく鈍化している。
先行きの世界経済を展望すると、先進国はGDPギャップが依然としてマイナス圏にあり引き続き世界金融危機からの回復途上にあるため、当面は潜在成長率を上回る経済成長が見込まれる。先進国のうち、米国、日本、ユーロ圏の今後10年間の平均成長率は世界金融危機を含む過去10年平均をいずれも上回ることが予想される。一方、新興国は循環的に成長率が高まる局面はあるものの、少子高齢化の進展に伴う潜在成長率の低下を背景に今後10年間の平均成長率は過去10年平均を下回る可能性が高い。
ただし、相対的には新興国が先進国よりも高い成長を続けるため、世界経済に占める新興国の割合は予測期間末の2026年には46%まで高まるだろう。国別には、現在世界第2位の経済規模の中国は世界経済に占める割合が足もとの15%程度から20%程度まで高まるが、今後10年間では米国に追いつくまでには至らないだろう。また、現時点では経済規模が日本の半分程度にすぎないインドはすでに人口が日本の約10倍となっていることに加え、先行きの人口増加率も日本を大きく上回ることから、予測期間末には日本のGDPを上回ることが予想される。
(2016年10月14日「Weekly エコノミスト・レター」)
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