- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国経済:景気指標の総点検(2016年秋季号)~李克強指数は急回復も、総合判断としては小康状態
2016年09月30日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
3.その他の景気指標を点検すると
【工業生産者出荷価格】
物価も景気と密接な関係がある。モノに対する需要が強ければ値段は上がり、需要が弱ければ下がるからである。足元の動きを見ると、8月の工業生産者出荷価格は前年同月比0.8%下落と直近最低値(同5.9%下落、昨年8-12月)に比べるとマイナス幅を縮小してきている。生産財は原油価格などの反転を受けて前年同月比1.0%下落とマイナス幅を大きく縮小、川上に位置する産業ほどマイナス幅の縮小傾向が鮮明となっている(図表-11)。また、消費財は前年同月比0.0%と横ばいで推移している。今春に値上がりが顕著となった食品は前月比0.1%下落と2ヵ月連続で小幅に下落したものの、恒常的に下落してきた耐久消費財はマイナス幅をやや縮めた(図表-12)。
物価も景気と密接な関係がある。モノに対する需要が強ければ値段は上がり、需要が弱ければ下がるからである。足元の動きを見ると、8月の工業生産者出荷価格は前年同月比0.8%下落と直近最低値(同5.9%下落、昨年8-12月)に比べるとマイナス幅を縮小してきている。生産財は原油価格などの反転を受けて前年同月比1.0%下落とマイナス幅を大きく縮小、川上に位置する産業ほどマイナス幅の縮小傾向が鮮明となっている(図表-11)。また、消費財は前年同月比0.0%と横ばいで推移している。今春に値上がりが顕著となった食品は前月比0.1%下落と2ヵ月連続で小幅に下落したものの、恒常的に下落してきた耐久消費財はマイナス幅をやや縮めた(図表-12)。
【通貨供給量(M2)】
金融面から景気動向を見る指標としては通貨供給量(M2)が挙げられる。足元の動きを見ると、8月は前年同月比11.4%増と、「13%前後」とされた2016年の政府見通しを大きく下回っている(図表-13)。一方、M1は8月に前年同月比25.3%増と急速に伸びを高めている。これに関して、中国人民銀行の盛調査統計局長は、企業は資金を投資に回さず貯め込んでいるとして「流動性の罠」の可能性を指摘した。民間企業の投資意欲を回復させるには金融政策だけでは手詰まり感があることを示唆したものと見られる。但し、融資サイドから見ると、投資に結び付くことの多い中長期融資が8月も同16.9%増と伸びを高めたことから、国有・持ち株企業の投資は健在と見ている(図表-14)。
金融面から景気動向を見る指標としては通貨供給量(M2)が挙げられる。足元の動きを見ると、8月は前年同月比11.4%増と、「13%前後」とされた2016年の政府見通しを大きく下回っている(図表-13)。一方、M1は8月に前年同月比25.3%増と急速に伸びを高めている。これに関して、中国人民銀行の盛調査統計局長は、企業は資金を投資に回さず貯め込んでいるとして「流動性の罠」の可能性を指摘した。民間企業の投資意欲を回復させるには金融政策だけでは手詰まり感があることを示唆したものと見られる。但し、融資サイドから見ると、投資に結び付くことの多い中長期融資が8月も同16.9%増と伸びを高めたことから、国有・持ち株企業の投資は健在と見ている(図表-14)。
(2016年09月30日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【中国経済:景気指標の総点検(2016年秋季号)~李克強指数は急回復も、総合判断としては小康状態】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済:景気指標の総点検(2016年秋季号)~李克強指数は急回復も、総合判断としては小康状態のレポート Topへ