- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- >
- 証券市場 >
- 消えたPBR効果~足元の復調は続くのか~
2016年08月23日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
3――PBR効果はキャピタル・リターン差でほぼ説明できる
たとえば、期初にPBRが1倍の低PBR銘柄と2倍の高PBR銘柄の2銘柄があったとします。期末にPBRが共に1.5倍に完全に収斂した場合、PBR成長率はそれぞれ50%と▲25%となります。低PBR銘柄は高PBR銘柄と比べて、PBRが期初から75%(=50%-▲25%)大きく上昇したことになります(この場合、2つの銘柄のPBR成長率の差は75%)。このように、PBRから見た高PBR銘柄の割高感と低PBR銘柄の割安感が解消される、つまりPBRの銘柄間格差が縮小しているとき(本稿ではPBRの収斂と呼びます)に、PBR成長率の差はプラスとなります【図表3】。
また、PBRの銘柄間格差が縮小している場合には、次の3つのケースが考えられます【図表4】。まず、(1)低PBR銘柄の株価が相対的に上昇した場合です【左】。この場合には、PBRの差が縮小した分だけ、PBR効果があらわれます。次に、(2)資本成長率が低PBR銘柄よりも高PBR銘柄の方が高く、高PBR銘柄のBPSが相対的に増加した場合です【中央】。この場合には、高PBR銘柄のPBRが相対的に低下しますが、株価の変動は伴わないため、PBR効果は得られません。最後に、(3)前述した(1)と(2)が同時に起こる場合です【右】。この場合はPBRの縮小(収斂)幅ほど、PBR効果(キャピタル・リターンの差)は得られません。
また、PBRの銘柄間格差が縮小している場合には、次の3つのケースが考えられます【図表4】。まず、(1)低PBR銘柄の株価が相対的に上昇した場合です【左】。この場合には、PBRの差が縮小した分だけ、PBR効果があらわれます。次に、(2)資本成長率が低PBR銘柄よりも高PBR銘柄の方が高く、高PBR銘柄のBPSが相対的に増加した場合です【中央】。この場合には、高PBR銘柄のPBRが相対的に低下しますが、株価の変動は伴わないため、PBR効果は得られません。最後に、(3)前述した(1)と(2)が同時に起こる場合です【右】。この場合はPBRの縮小(収斂)幅ほど、PBR効果(キャピタル・リターンの差)は得られません。
このように、PBR成長率と資本成長率を観測することによって、PBR効果の有無だけでなく、その要因についても理解することが出来ます。
そこで、本稿ではPBR成長率と資本成長率から、PBR効果について整理していきたいと思います。
そこで、本稿ではPBR成長率と資本成長率から、PBR効果について整理していきたいと思います。
(2016年08月23日「基礎研レポート」)

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/26 | 新NISAの利用実態~利用状況調査:2024年12月末時点(確報値)を踏まえて~ | 前山 裕亮 | 基礎研レポート |
2025/06/11 | DCでも、国内株式の利確膨らむ~2025年5月の投信動向~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/05/29 | 米国株式は高PERでも高収益?~日米株式の資本コスト比較~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
2025/05/09 | 下落時の分配金の是非~2025年4月の投信動向~ | 前山 裕亮 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年07月01日
今週のレポート・コラムまとめ【6/24-6/30発行分】 -
2025年06月30日
食品ロス削減情報の比較可能性-何のための情報開示か? -
2025年06月30日
鉱工業生産25年5月-4-6月期は2四半期連続減産の可能性が高まる -
2025年06月30日
マスク着用の子どもへの影響-コロナ禍の研究を経て分かっていること/いないこと -
2025年06月30日
米個人所得・消費支出(25年5月)-個人所得と個人消費ともに前月比で減少、市場予想も下回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【消えたPBR効果~足元の復調は続くのか~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
消えたPBR効果~足元の復調は続くのか~のレポート Topへ