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日銀ETF大量購入の問題点-マッチポンプの日本的手法と企業経営に悪影響の懸念
金融研究部 主席研究員 チーフ株式ストラテジスト 井出 真吾
企業経営に悪影響の恐れ
株価が値上がりするのは好ましいように思われがちだが、企業経営への弊害も想定される。というのも、前述のように日銀によるETFの大量購入によって個別企業の株価が下支えされるため、株価が経営内容を正しく反映できなくなる恐れがある。たとえば企業の経営内容に改善点が生じても、株価が下がらなければ株主が問題視せず放置するかもしれない。また、経営者が株主の評価を通じて経営課題に気づく機会を逸してしまう恐れもある。
さらに言うと、日銀は大量購入したETFを将来どうするのだろうか。これも気がかりである。国債は満期があるので保有し続ければ自然と日銀から無くなる。ところがETFには満期がないので、いずれ日銀は“売る”というアクションを起こすことになる。今は“買う”というアクションで株価を下支えしている時期だからよいが、超金融緩和政策の出口では何が起こるのか心配の種は大きい。時限立法で日銀保有ETF管理機構のようなものを作って少しずつ売却するのだろうか。それでも、図2に示したような間接的に大量保有されている企業の株価には大きな下押し圧力がかかることが想定される。市場に影響が出ないように処分できるとも思えないのだが・・・。
03-3512-1852
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
1999年 (株)ニッセイ基礎研究所へ
2023年より現職
【加入団体等】
・日本ファイナンス学会理事
・日本証券アナリスト協会認定アナリスト
(2016年08月08日「基礎研レター」)
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