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- 全国・主要都市の空き家数と空き家率の現況-「平成25年住宅・土地統計調査」の分析-
2016年05月02日
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3|一戸建ての空き家率が上昇
住宅の建て方別7に空き家数をみると、2013年に一戸建ての空き家が300万戸、長屋建ての空き家が45万戸、共同住宅の空き家が471万戸、その他の空き家が3万戸となっており、建て方別にみると共同住宅の空き家の構成比が57.5%を占めている(図表-7)。
2008年から2013年までに一戸建ての空き家の増加率は+19.8%に達し、共同住宅の空き家増加率の+1.9%を大きく上回っている(図表-8)。これは後に見るように地方圏での増加が大きく影響している。なお、居住世帯のある一戸建て住宅の過去5年間の増加率は+4.2%で、居住世帯のある共同住宅の増加率は+6.8%だった。
所有関係別と同様に、近似的に建て方別の空き家率*を求めると、一戸建ての空き家率*は2008年から2013年に8.4%から9.5%に上昇、長屋建ては23.8%から26.1%に上昇、共同住宅は18.3%から17.6%へとわずかに下落が見られた(図表-9)。
住宅の建て方別7に空き家数をみると、2013年に一戸建ての空き家が300万戸、長屋建ての空き家が45万戸、共同住宅の空き家が471万戸、その他の空き家が3万戸となっており、建て方別にみると共同住宅の空き家の構成比が57.5%を占めている(図表-7)。
2008年から2013年までに一戸建ての空き家の増加率は+19.8%に達し、共同住宅の空き家増加率の+1.9%を大きく上回っている(図表-8)。これは後に見るように地方圏での増加が大きく影響している。なお、居住世帯のある一戸建て住宅の過去5年間の増加率は+4.2%で、居住世帯のある共同住宅の増加率は+6.8%だった。
所有関係別と同様に、近似的に建て方別の空き家率*を求めると、一戸建ての空き家率*は2008年から2013年に8.4%から9.5%に上昇、長屋建ては23.8%から26.1%に上昇、共同住宅は18.3%から17.6%へとわずかに下落が見られた(図表-9)。
7 住宅・土地統計調査の用語解説によると主な住宅の建て方は次のように説明されている。「一戸建」一つの建物が1住宅であるもの。「長屋建」二つ以上の住宅を一棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への出入り口を持っているもの。「共同住宅」一棟の中に二つ以上の住宅があり、廊下・階段などを共有しているものや二つ以上の住宅を重ねて建てたもの。
4|持家系一戸建ての空き家率が上昇
より細かく、所有関係別・建て方別の空き家をみていく。
2013年の空き家数819.6万戸のうち、最も高い構成比を占めるのが賃貸用の共同住宅の空き家で、空き家総数の45.7%を占め、次いで持家系の一戸建ての空き家(同33.6%)、持家系共同住宅の空き家(同11.8%)と続いている(図表-10)。これら主要3区分のうち、空き家数の増加が顕著なのは持家系の一戸建ての空き家で、1998年には139万戸(構成比は24.2%)だったのが、2013年には275万戸(同33.6%)へと増加している(図表-11)。
区分別増加数では、2008年~2013年に最も増加したのが持家系の一戸建て(+51.0万戸)で、持家系の共同住宅は-6.4万戸の減少、賃貸用共同住宅は+15.3万戸の増加であった(図表-12)。なお、賃貸用共同住宅の空き家数が大きく増加した2003年~2008年は、不動産バブルとも呼ばれる不動産市場の好況に加え、住宅専業J-REITが誕生するなど、賃貸用マンションが多く建設された時期であった。
3――都道府県別・主要要都市別の空き家数・空き家率
1|地方圏で一戸建ての空き家数が増加 (都道府県別)
空き家率は都道府県別に大きな格差がみられる。
2013年の空き家率は、山梨県が22.0%で最も高く、宮城県(9.4%)が最も低かった8(図表-15)。空き家数は大都市圏に集中しており、増加数も大都市圏での増加が顕著だが9、増加率をみると地方圏でも高い県がみられる(図表-16)。
地方での空き家の増加傾向は、一戸建てで顕著で、2008年~2013年に一戸建ての空き家が1万戸以上増加したのは25都道府県で、人口の多い大都市圏だけでなく、中部や中国、九州などにも広がっている(図表-17)。すでに地方圏では一戸建ての空き家数が少なくなく、三大都市圏を除く一戸建ての県別平均空き家数は5.4万戸に達し、これは三大都市圏の平均(10.5万戸)の51.2%に相当する10。
これに対し、共同住宅の空き家の増加は、大都市圏での増加が著しく、地方圏の各県ではわずかな増加か減少という県が多い(図表-18)。三大都市圏を除く共同住宅の県別平均空き家数は5.5万戸で、三大都市圏の平均(29.2万戸)の18.7%にすぎない。
持家系の一戸建てと借家の共同住宅の空き家率*を計算したのが図表-19である。宮城県と沖縄県で空き家率*はともに低く、持家系一戸建ての空き家率*は中部・四国などの県で比較的高く、借家共同住宅の空き家率*は北関東や中部で高めの県が多いという結果が得られた。
空き家率は都道府県別に大きな格差がみられる。
2013年の空き家率は、山梨県が22.0%で最も高く、宮城県(9.4%)が最も低かった8(図表-15)。空き家数は大都市圏に集中しており、増加数も大都市圏での増加が顕著だが9、増加率をみると地方圏でも高い県がみられる(図表-16)。
地方での空き家の増加傾向は、一戸建てで顕著で、2008年~2013年に一戸建ての空き家が1万戸以上増加したのは25都道府県で、人口の多い大都市圏だけでなく、中部や中国、九州などにも広がっている(図表-17)。すでに地方圏では一戸建ての空き家数が少なくなく、三大都市圏を除く一戸建ての県別平均空き家数は5.4万戸に達し、これは三大都市圏の平均(10.5万戸)の51.2%に相当する10。
これに対し、共同住宅の空き家の増加は、大都市圏での増加が著しく、地方圏の各県ではわずかな増加か減少という県が多い(図表-18)。三大都市圏を除く共同住宅の県別平均空き家数は5.5万戸で、三大都市圏の平均(29.2万戸)の18.7%にすぎない。
持家系の一戸建てと借家の共同住宅の空き家率*を計算したのが図表-19である。宮城県と沖縄県で空き家率*はともに低く、持家系一戸建ての空き家率*は中部・四国などの県で比較的高く、借家共同住宅の空き家率*は北関東や中部で高めの県が多いという結果が得られた。
8 山梨県では別荘(二次的住宅に含まれる)の多さが空き家率を引き上げており、宮城県は東日本大震災の影響で、みなし仮設住宅として住宅が借りあげられたことなどが空き家率の下落に貢献したといわれている。
9 2008年~2013年における空き家の減少数が最も大きかったのは、宮城県(-4.2万戸)で、次いで福島県(-1.3万戸)だった。
10 ここでは三大都市圏を埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県とした。
(2016年05月02日「基礎研レポート」)
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