2016年05月02日

全国・主要都市の空き家数と空き家率の現況-「平成25年住宅・土地統計調査」の分析-

  竹内 一雅

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4――空き家の腐朽状況

1|空き家の腐朽・破損状況
住宅・土地統計調査では、住宅の腐朽・破損の有無を調査している。居住世帯のある住宅では、破損・腐朽の比率が8.6%の一方、空き家では26.0%に達する(図表-34)。
建て方・構造別にみると、空き家のうち一戸建て(33.0%)と木造の共同住宅(34.0%)で腐朽・破損の比率が高く、非木造の共同住宅では15.8%とその比率は低い。また、腐朽・破損比率は、別荘などの二次的住宅で低く(12.5%)、長期に人が居住していない「その他の住宅」では33.1%と約三分の1の空き家に腐朽・破損がみられる。
図表-34: 空き家と居住世帯のある住宅の腐朽・破損比率(2013年)
2|共同住宅の空き家の建築時期
総務省統計局は住宅・土地統計調査の結果を特別集計したレポート13で、共同住宅の空き家の建築時期をとりまとめている。これによると、共同住宅の空き家で最も戸数が多いのは1991年~2000年に建築された住宅の74.5万戸で、次いで1981年~1990年の73.1万戸だった(図表-35)。空き家率*は、共同住宅全体では17.6%だが、1970年までに建築された住宅では21.0%に達している。一方、2001年以降に建築された住宅では10%程度の空き家率*だった。
図表-35: 共同住宅空き家の建築年と空き家率*
3|マンションの建築時期と空室率(マンション総合調査)
国土交通省のマンション総合調査14によると、全国のマンションで3ヶ月以上空室となっている戸数割合は2.4%であるという(図表-36)。建築時期別に見ると、1969年以前に建築されたマンションでは空室割合が8.2%と高く、2005年~2009年の建築物件では0.8%という低さであった。このように、住宅・土地統計調査とは空き家率の水準に格差はあるが、他の調査でも建築後の年数が長いほど空き家率は高くなっている。
図表-36: 全国のマンションにおける建築年別の空室(3ヶ月以上)の戸数割合
 
14 調査の詳細については国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果」を参照のこと。

5――おわりに

5――おわりに

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、2015年から2016年にかけて日本の人口は年間で40万人を越える減少となり、その減少幅は今後さらに拡大し、2025年には前年比で-74万人の減少になると予測されている。2025年の日本の人口は2010年比で-21.4%の減少で、東京都でも-11.7%の減少になるという。世帯数についても、同じく国立社会保障・人口問題研究所によると、2010年~2015年に一般世帯数は+106万世帯の増加だが、2015年~2020年には+15万世帯の増加、2020年~2025年には-61万世帯の減少になると予測されている。
東京をはじめとする大都市では、近年の都心居住の進展に加え、昨年は、相続税対策や高級マンションの購入や外国人によるマンション購入などが進むなどの活況があり、人口減少による住宅への影響を直接感じることは少ない。しかし、日本全体での人口減の本格化はすでに始まっており、今後、各地で住宅への影響が深刻化する可能性が高い。
本稿は、全国的に空き家数を確認できる唯一の統計である住宅・土地統計調査から、空き家の現況の基本的データを整理したものである。それによると、2013年現在、日本には居住可能な空き家は820万戸あり、毎年、十数万戸ずつ増加している。さらに空き家率や空き家の増加率は地域によって大きく異なり、今後の人口減少の進展の中で、持家の一戸建てに加え、マンションの空き家の増加も懸念される。
現在、海外からのインバウンド客の急増などから空き家の民泊としての活用15などが提案されており、特に地方ではその期待が高いと思われる。ただし、空き家の活用のためには、空き家の現状把握とともに、今後の状況予測のためにも、住宅・土地統計調査における高齢者などの居住状況の分析がより重要になってくると思われる。こうした空き家の見通しに関する分析は、政策担当者ばかりでなく、民間事業者や投資家にとってもますます重要になっていくのではないだろうか。
 
15 みずほ総合研究所のレポートによると、訪日外国人旅行者数が2,500万人までに増加する場合、全国で新たに必要となる客室数は2014年比で4万1千室(延べ宿泊者数の増加は3.8千万人)と予測されている。本稿で記述してきたように、日本には居住可能な空き家が820万戸存在し、毎年10数万戸ずつ増加していることから、空き家の有効利用が日本の宿泊施設不足の解消に大きな役割を果たす可能性が高い。現在、「民泊サイトを通じた民泊」が客室を不特定多数に繰り返し貸し出すためには、通常、旅館業法の許可を受ける必要があるが、厚生労働省「「民泊サービスのあり方」に関する検討会」から公表された「「民泊サービス」のあり方について(中間整理)」では、中期的な検討課題として、規制の程度について現状のような「許可ではなく、届出とする等」の課題を記載している。居住可能な空き家が820万戸あり、毎年十数万戸ずつ増加し、今後も増加が見込まれるという、欧米でも例のないスピードで空き家が増加する日本にとって、届出だけで民泊として認めるという方向性は、今後の人口減少の進展や人口の都心回帰の流れに伴う周辺部での空き家の増加、人口減と高齢化よる日本人による国内旅行の減少可能性などを考慮すると、宿泊施設の供給過剰を懸念せざるを得ない。なお、国内宿泊施設における外国人比率は急激に高まっているが、2015年時点で13.1%であり、日本人による宿泊が全体の86.9%を占めている。もちろん、新たな政府目標では2020年までの訪日外国人旅行者数は4千万人となっており、これが実現されるのであれば、宿泊施設として現在の空き家の活用は不可欠であろう。みずほ総研のレポートについては、大和香織「インバウンド観光と宿泊施設不足-2020年までに東京・関西を中心に不足感強まる」(2015.8.10)みずほインサイト、を参照のこと。また、「週刊ホテルレストラン」2015年12月4日号によると、2015年12月時点での全国のホテルの新・増設客室計画数は4.5万室(完成時期未定を含む)に上っており、その後も多数のホテル開発計画が発表されている。
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竹内 一雅

研究・専門分野

(2016年05月02日「基礎研レポート」)

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