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- 【1-3月期米GDP】前期比年率+0.5%、全般的に前期から成長が鈍化
2016年05月02日
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1.結果の概要:成長率は前期からさらに大幅低下、市場予想も下回る
1-3月期の成長率を需要項目別にみると、住宅投資が前期比年率+14.8%(前期:+10.1%)と好調を維持したほか、政府支出も+1.2%(前期:+0.1%)と伸びが加速した。一方、個人消費は+1.9%(前期:+2.4%)と市場予想(+1.7%)は上回ったものの、前期から伸びが鈍化した。民間設備投資は▲5.9%(前期:▲2.1%)と2期連続でマイナスとなったほか、マイナス幅が拡大した。在庫変動の成長率寄与度は▲0.33%ポイント(前期:▲0.22%ポイント)と、こちらも前期からマイナス幅が拡大した。最後に外需は、輸入が前期比年率+0.2%(前期:▲0.7%)と前期からプラスに転じた一方、輸出が▲2.6%(前期:▲2.0%)と前期からマイナス幅が拡大した結果、純輸出(輸出-輸入)の成長率寄与度は、▲0.34%ポイント(前期:▲0.14%ポイント)と、前期からマイナス幅が拡大した。
1-3月期は、ドル高や原油安の影響から外需や設備投資が成長を押下げることは予想されていたものの、米労働市場の改善基調が持続し実質可処分所得が前期比年率+2.9%(前期:+2.3%)と所得環境が好転したにも係わらず、個人消費の伸びが鈍化するなど、個人消費が期待外れに終わった。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
1-3月期は、ドル高や原油安の影響から外需や設備投資が成長を押下げることは予想されていたものの、米労働市場の改善基調が持続し実質可処分所得が前期比年率+2.9%(前期:+2.3%)と所得環境が好転したにも係わらず、個人消費の伸びが鈍化するなど、個人消費が期待外れに終わった。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
2.結果の詳細:
(個人消費・個人所得)所得の伸び加速にも係わらず、財消費が大幅に鈍化
1-3月期の個人消費は、サービス消費が前期比年率+2.7%(前期:+2.8%)と、前期並みの伸びとなる一方、財消費が+0.1%(前期:+1.6%)とほぼ横這いとなるなど、前期から大幅に伸びが鈍化した(図表3)。財消費を仔細にみると、非耐久消費財が+1.0%(前期:+0.6%)と前期から伸びが加速する一方、耐久消費財が▲1.6%(前期:+3.8%)と11年4-6月期以来のマイナスとなったことが響いた。とくに、自動車関連は▲12.4%(前期:▲5.7%)と前期から大幅にマイナス幅が拡大し、これだけで個人消費を▲0.5%ポイント押下げる結果となった。
一方、所得面では実質可処分所得が+2.9%(前期:+2.3%)と、労働市場の回復持続を反映して前期から伸びが加速した(図表4)。所得に比べて消費が抑制された結果、貯蓄率は5.2%(前期:5.0%)と、前期から小幅上昇した。
1-3月期の個人消費は、サービス消費が前期比年率+2.7%(前期:+2.8%)と、前期並みの伸びとなる一方、財消費が+0.1%(前期:+1.6%)とほぼ横這いとなるなど、前期から大幅に伸びが鈍化した(図表3)。財消費を仔細にみると、非耐久消費財が+1.0%(前期:+0.6%)と前期から伸びが加速する一方、耐久消費財が▲1.6%(前期:+3.8%)と11年4-6月期以来のマイナスとなったことが響いた。とくに、自動車関連は▲12.4%(前期:▲5.7%)と前期から大幅にマイナス幅が拡大し、これだけで個人消費を▲0.5%ポイント押下げる結果となった。
一方、所得面では実質可処分所得が+2.9%(前期:+2.3%)と、労働市場の回復持続を反映して前期から伸びが加速した(図表4)。所得に比べて消費が抑制された結果、貯蓄率は5.2%(前期:5.0%)と、前期から小幅上昇した。

1-3月期の民間設備投資の内訳をみると、建設投資が前期比年率▲10.7%(前期:▲5.1%)と、11年1-3月期以来の2桁のマイナスとなった(図表5)。とくに、原油価格の下落に伴い資源関連が▲86.0(前期:▲39.6%)とマイナス幅が拡大した影響が大きい。また、設備機器投資も▲8.6%(前期▲2.1%)と前期からマイナス幅が拡大した。
一方、知的財産投資は+1.7%(前期:▲0.2%)と、こちらは3四半期ぶりにプラスに転じた。
次に、住宅投資は12年10-12月期(+22.2%)以来の伸びとなったほか、2期連続で2桁の伸びとなるなど、設備投資とは対照的に好調を維持した。
(貿易)財輸出の減少が持続
輸出の内訳は、財輸出が前期比年率▲3.4%(前期:▲5.4%)とマイナス幅を縮小させた一方、サービス輸出が▲0.9%(前期:+5.0%)と、14年7-9月期以来のマイナスとなった(図表7)。財輸出では、資本財(除く自動車関連)が▲10.2%(前期:▲2.8%)と前期からマイナス幅が拡大したものの、自動車関連が▲7.5%(前期:▲9.4%)とマイナス幅が縮小したほか、工業用原料は+13.0%(前期:▲8.5%)と前期から大幅なプラスに転じた。
輸入は、財輸入が▲0.7%(前期:▲1.3%)と前期からマイナス幅が縮小したほか、サービス輸入が+3.8%(前期:+1.9%)と前期から伸びが加速した(図表8)。財輸入の中身をみると、資本財(除く自動車関連)が▲9.1%(前期:+0.5%)と前期から大幅なマイナスに転じたほか、消費財(除く自動車関連)も▲7.7%(前期:▲6.6%)とマイナス幅が拡大した。一方、自動車関連が+0.7%(前期:▲0.7%)と小幅ながらプラスに転じたほか、工業用原料も+10.8%(前期:▲3.0%)と大幅なプラスに転じた。
輸出の内訳は、財輸出が前期比年率▲3.4%(前期:▲5.4%)とマイナス幅を縮小させた一方、サービス輸出が▲0.9%(前期:+5.0%)と、14年7-9月期以来のマイナスとなった(図表7)。財輸出では、資本財(除く自動車関連)が▲10.2%(前期:▲2.8%)と前期からマイナス幅が拡大したものの、自動車関連が▲7.5%(前期:▲9.4%)とマイナス幅が縮小したほか、工業用原料は+13.0%(前期:▲8.5%)と前期から大幅なプラスに転じた。
輸入は、財輸入が▲0.7%(前期:▲1.3%)と前期からマイナス幅が縮小したほか、サービス輸入が+3.8%(前期:+1.9%)と前期から伸びが加速した(図表8)。財輸入の中身をみると、資本財(除く自動車関連)が▲9.1%(前期:+0.5%)と前期から大幅なマイナスに転じたほか、消費財(除く自動車関連)も▲7.7%(前期:▲6.6%)とマイナス幅が拡大した。一方、自動車関連が+0.7%(前期:▲0.7%)と小幅ながらプラスに転じたほか、工業用原料も+10.8%(前期:▲3.0%)と大幅なプラスに転じた。
(物価・名目値)物価上昇圧力はさらに後退
1-3月期のGDP価格指数は、前期比年率+0.7%(前期:+0.9%)と、市場予想(同+0.5%)は上回ったものの、前期から伸びが鈍化した。その結果、名目GDP成長率は前期比年率+1.2%(前期:同+2.3%)と、前期から一段と低下した(図表9)。
FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+0.3%、前年同期比+1.0%(前期:+0.3%、+0.5%)となった(図表10)。さらに、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前期比年率+2.1%、前年同期比+1.7%(前期:+1.3%、+1.4%)となった。依然としてエネルギー価格の下落が総合指数を押下げており、総合指数とコア指数の乖離が持続している。両指数ともに前年同期比では前期から伸びが加速しているが、FRBが目標とする2%を下回る状況が持続している。
1-3月期のGDP価格指数は、前期比年率+0.7%(前期:+0.9%)と、市場予想(同+0.5%)は上回ったものの、前期から伸びが鈍化した。その結果、名目GDP成長率は前期比年率+1.2%(前期:同+2.3%)と、前期から一段と低下した(図表9)。
FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+0.3%、前年同期比+1.0%(前期:+0.3%、+0.5%)となった(図表10)。さらに、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前期比年率+2.1%、前年同期比+1.7%(前期:+1.3%、+1.4%)となった。依然としてエネルギー価格の下落が総合指数を押下げており、総合指数とコア指数の乖離が持続している。両指数ともに前年同期比では前期から伸びが加速しているが、FRBが目標とする2%を下回る状況が持続している。
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
(2016年05月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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